実話!


『ハイドリヒを撃て! 「ナチの野獣」暗殺作戦』
イギリス政府と、チェコスロバキア亡命政府の命を受け、チェコ領内に入ったヨゼフ(キリアン・マーフィ)とヤン(ジェイミー・ドーナン)。
2人に与えられた指令は、ナチスの最高幹部の一人である、ハイドリヒの暗殺。
現地のレジスタンスたちとも協力しあい、綿密に計画を立てて、作戦は実行された。
しかしその直後から、ナチスの凄まじい犯人捜しが始まり‥‥。

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監督は「フローズン・タイム」などのショーン・エリス。
第二次大戦中の実話が基になってるそうです。

男たちの凄まじい執念を見ました。
いや、実行に移したのは男たちですが、それを支える女たちの執念も。

ナチスの支配下にある街で行われた、最高幹部の暗殺計画。
映画となると、どこか簡単そうに観える部分もあるのですが。

ナチスは、反抗的な姿勢・思想を持つ者の告発を推奨しており。
友人・知人はおろか、家族でさえ心から信頼できない状況を築き上げ。
中には、あらぬ疑いをかけられて、投獄・処刑された人もいるでしょう。

そんな中で、ナチス最高幹部の一人・ハイドリヒの暗殺計画を練るなんて。
何か一つでもミスがあれば、計画は頓挫するだけでなく
自分たちレジスタンスだけでなく、少しでも関わった協力者たちも含め、数十人で済まない数が処刑されるのです。
その命がけの緊張感が、スクリーンからビシビシ伝わってきました。

命を賭しても悪を討とうという、レジスタンスの覚悟に対し
台所に現れたゴキブリを、ヒステリックに退治するかのように
感情的に、冷酷に追い詰めるナチス。
震えましたよ。

ただ少し、ゆるく感じる部分も。
ハイドリヒの名前を出して、殺す殺さないと大声で怒鳴りあったり
そういうシーンがちょいちょいあったりしたのが、残念でした。
隣人も信頼できないわけですから。
もっと気を張ってたと思うんですよね。
そこだけ、ちょっと。

ホロコーストに関わった幹部の暗殺。
それによって行われた、ナチスによる情け容赦ない報復。
果たしてこの暗殺は、何を残し、何を潰したのでしょうか。
虚しさの残る圧巻のラストに、しばし呆然としてしまいました。


☆個人的見どころ
 ・レジスタンスたちの覚悟
 ・ナチスの絶対支配
 ・最後の攻防戦