ロイ・フラー!


『ザ・ダンサー』
19世紀末。若き女性ダンサーのロイ・フラー(ソーコ)は、アメリカの劇場で、ダンスの新しい見せ方を提唱。
しかし、あっさりとそのアイデアを盗まれ、傷心のままにパリへ渡る。
パリの劇場で新しいダンスを披露すると、人々は無名のダンサー・ロイに熱狂。
シルクの布をはためかせ、色とりどりの照明を使った新しい演出に魅了され、人々は劇場に詰めかける。
しかし、体に負担がかかるそのダンスは、ロイの心身をボロボロにして行き‥‥。

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監督は、ステファニー・デイ・ジュースト。
19世紀末から20世紀にかけて活躍したダンサーのロイ・フラーの半生を描いた映画です。
ロイが見出だした若きダンサーのイサドラ・ダンカン役で、ジョニー・デップの娘のリリー=ローズ・デップも出演しております。

勉強不足なもので、僕はロイ・フラーという方を初めて知ったのですが
その独創的なダンスとアイデアに、目が釘付けになってしまいました。

ダンスの技術そのものよりも、その独創的な演出が認められた方だったようですね。
とは言え、ダンスに対しても超ストイックで。
体に負担が大きいダンスでありながら
自分の体よりも、舞台映えを気にする姿に、魂を削るような迫力を感じました。

天才というのは、いつの世にあっても戦い続けているものだと思っているのですが。
このフラーもやはり、例外ではなく。
世間の評価やライバルとはもちろん、出資者や劇場のオーナー。
そして自分自身とも。

こういう天才の映画を観ると、いつも自分と比べてしまい、至らなさにヘコんだりもするのですが
いつも何かにイライラし、完璧を求めるがゆえに、神経質になってしまい
本質では誰とも理解し合えないフラーを観ていると
この生き方は生き方でしんどいやろうなとも思ったり。

そして、弟子的存在のイサドラとの愛憎劇。
妖しく、生々しく、そして美しく。
その結末に震えましたよ。
女って怖い!

ただ、そのダンスへのモチベーションを、何によって保っていたのか
そもそも、それがどこから来たものだったのか
そこがいまいちハッキリしてなかったような。
(ダンスを思い付いた瞬間は描かれてましたけど)

自分のダンスにかける姿勢に、鬼気迫るものがあったので
そこはもう少し掘って欲しかったですね。

ちなみにYOUTUBEで、ロイ・フラー本人の、恐らく晩年のダンスを見ることができるのですが
古い古い映像なのですけど、その流れるような美しさと迫力に圧倒されましたよ。
この映画を観て、興味が出た方は、そちらもぜひ。


☆個人的見どころ
 ・魂を削るようなダンス
 ・それを演じるソーコ
 ・イサドラとの愛憎劇
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