ビルダップ!


『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』
テロが頻発する、ローマの郊外。
チンピラのエンツォ(クラウディオ・サンタマリア)は、ふとしたことから超人的なパワーを手に入れる。
ある日、エンツォがオヤジと慕う男が殺され、その娘のアレッシア(イレニア・パストレッリ)が残されてしまった。
大好きな日本のアニメ「鋼鉄ジーグ」の主人公・司馬宙と重ね、エンツォを慕うアレッシアを、エンツォは放っておけない。
しかし、エンツォの力に気づき、目をつけた闇組織のリーダー・ジンガロ(ルカ・マリネッリ)が、2人に近づき‥‥。

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監督は、この作品が長編デビューのガブリエーレ・マイネッティ。

最初に情報を見たときは「鋼鉄ジーグ」というタイトルだったので、世代の僕は
「え!?実写化?しかもイタリアで?」
と思って、血がザワザワしたのですが。

そうではなかったので、安心したような、観たい気持ちもあったような。
でも、あのアニメに対してもリスペクトは、たっぷりと感じることができました。

正直、ジーグに憧れる男のおバカ映画なのかと思っていたら
ストーリーは思っていた以上にシリアス。
重く、暗く。
しかし根底に流れるのは、鋼鉄ジーグから受け継いだ「正義」。

常人を超えた力を手に入れたエンツォ。
しかしエンツォはケチなチンピラ。
そのパワーをつまらない犯罪に使い
父を亡くしたアレッシアがどうなろうが、知ったことではなかったのだけれど。

ちょっと発育の遅いアレッシアは、そんなエンツォを鋼鉄ジーグとあがめて。
その気になる、と言うのかどうか
少しずつ目覚めるのです。
その力の使い道に。
そして、アレッシアへの恋心に。

悪から正義へ。
きっかけは愛。
そんな気持ちの移り変わりが、何かヒーローっぽくて熱くなりましたよ。

しかし、物語はそのまま平穏に終わるはずもなく。
警察に追われ、ギャングに追われ。
ネットに流出した動画から、超人が現れたと騒ぎだした市民に追われ。
果たして2人の運命は‥‥。

僕としては、超人的なパワーを使ったアクションシーンをもうちょい観たかったですが。
愛と正義と、そして哀しみを含んだストーリーに
最後までスクリーンに惹き付けられました。

何より、鋼鉄ジーグがタイトルだけのおまけ程度ではなく
ちゃんと作り手側のリスペクトが感じられたことが嬉しかったです。
面白かった!


☆個人的見どころ
 ・ジーグ愛
 ・超人対決
 ・イタリア版テーマ曲