女は強し。


『20センチュリー・ウーマン』
1979年。カリフォルニア州サンタバーバラ。
シングルマザーのドロシア(アネット・ベニング)は、15才の息子ジェイミー(ルーカス・ジェイド・ズマン)と2人暮らし。
ここ最近は、思春期で反抗期の息子の教育に頭を悩ませていた。
ドロシアは、部屋を間貸ししているパンクな写真家のアビー(グレタ・ガーウィグ)と、息子の幼馴染みジュリー(エル・ファニング)に相談。
自分の目の届かない部分をサポートし、立派な大人の男性に教育してやって欲しいとお願いするが‥‥。

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監督は、「人生はビギナーズ」などのマイク・ミルズです。
監督自身の母親がテーマなんですって。

親と子の揉める原因になるのが、「幸せの線引き」なわけで。
両者の設定する「幸せ到達点」に、差があればあるほど、揉め事も大きなものに。

親は安定した職につくことを望み
清潔で穏和で従順なパートナーとの結婚を求めるけれど
子はそんなことよりも、目の前の欲望願望。
親が何を言おうと、自分の人生を謳歌したいと思うのは、ごく自然な話で。

親はそんな子を見て将来を心配し、いつも小言を言うのです。
かつての自分も、そうだったにもかかわらず。

そんな親と子の距離感が、絶妙でしたね。
自由奔放で、ちょっと男前な雰囲気さえあるドロシアなのですが
やはり心のどこかで「父親から学ぶもの」が、息子ジェイミーには必要だと思っていて。

でも、ジェイミーからしたら、そんなもん大きなお世話で。
でも、「大きなお世話だよ!」という態度を出せば出すほど、子供っぽく見えるという矛盾。
その辺りの描き方が、本当に上手かったです。

「20センチュリー・ウーマン」ですから
シングルマザー・ドロシアの物語かと思いきや
20代のアビー、10代のジュリーの物語でもあって。
ジェイミーを中心に置きつつも
それぞれの立場や考え、そして性が描かれていて
それがストーリーの厚みになっておりました。

今よりもずっと、女性の地位が低く見られていた時代に生きる彼女たちの物語に
女性のたくましさとしたたかさが感じられる映画でした。


☆個人的見どころ
 ・母と息子の距離感
 ・男は結局エロに弱い
 ・ずるかわいいエル・ファニング