都会の息苦しさ。


『夜空はいつでも最高密度の青色だ』
2017年の東京。日雇いの肉体労働で食いつないでいる慎二(池松壮亮)。
彼はいつも、漠然とした死の不安を感じながら、東京で必死に生きていた。
看護師の美香(石橋静河)は、夜はガールズバーでアルバイトを。
田舎から出てきた彼女は、いつも孤独を感じながら日々を暮らしていた。
都会に生きづらさを感じている二人は偶然に出会うが、いつも話は一方通行で‥‥。

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「舟を編む」などの、石井裕也監督です。
最果タヒさんの詩集が原作なんですって。

地方から東京に出てくる人って、少なからず憧れや期待を抱いてやって来ると思うんですよね。
でも、現実に打ちのめされる人も、少なからず。

都会で生活しながら、不安と息苦しさ、居心地の悪さをいつも感じている慎二と美香。
「生きるために働く」
それだけでは割り切れない、焦燥感。
そんな2人が出会い、意気投合して‥‥
と、すんなり行かないのが良かったですね。

詩集が原作だけあって、セリフの一つ一つが濃密で。
「これ覚えとこう!」
と思ったのも多々あったんですが、多くて覚えきれなかったです。笑
詩集を入手せねば。

そしてその言葉たちを、慎二という人間の内面から出てきたように、ナチュラルに演じる池松壮亮さん。
上手いっすな~。

お相手役の石橋静河さん、初主演だそうで。
石橋凌さんと原田美枝子さんの娘さんなんですね。
だからかどうかは分からないですけど、初主演と思えないほどの堂々とした演じっぷりでした。

田中哲司さん、松田龍平さん、アンドレス役のポール・マグサリンさん。
この方々の労働者っぷりがめちゃくちゃリアルで。
脇のキャストさんって大事なのだなと、改めて。

端から見たら、傷を舐めあうような恋に見えるかもしれない。
でも、多くの恋愛映画にあるような、奇跡的な何かがない、リアルな恋愛を感じることができました。

序盤は、息苦しさに押し潰されそうになったんですが
終わった頃には、暖かい気持ちになっている映画でしたよ。


☆個人的見どころ
 ・言葉
 ・都会の息苦しさ
 ・等身大の恋愛