衝撃の実話。



『汚れたミルク あるセールスマンの告発』
パキスタンで薬のセールスマンをしているアヤンだが、国産の製品は全く売れなかった。
ある日、多国籍企業に転職し、粉ミルクの販売をすることに。
医師に賄賂を渡してでも納入させる企業のやり方は成功し、粉ミルクは飛ぶように売れる。
数年後、不衛生な水で作られたミルクを飲んだ赤ちゃんが、次々と病院に運ばれている事実を知ったアヤン。
責任を感じた彼は、世界的企業を相手に、その事実を告発しようとするが‥‥。

---------------

「鉄くず拾いの物語」などの、ダニス・タノヴィッチ監督です。

子を持つ親としても、ものすごく衝撃的な映画でした。
ストーリーと共に、実際に病院に運ばれた赤ちゃんの映像なども使われていて、そちらも含め凄まじかったです。

途上国の恐ろしいところは
巨大な企業が、時に政府の要人もおさえこんでしまうところで。
罪悪感にさいなまれ、企業を告発することを決めたアヤン。
しかしそれは、相手企業と共にその企業に恩恵を受けている、たくさんの人たちを敵にまわすことでもあって。

 

自分の正義を支えてくれる相手がどこにいるか分からないのに戦うというのは

本当に不安で心細いことだと思うのですが。

それでもファイティングポーズを取るアヤンの姿に、胸を打たれてしまいました。

「この問題を映像化すると言う外国の取材班が、アヤンのインタビューを取る」

という見せ方が、うまく緊張感を煽る効果になっていて。
アヤンの証言を取りつつも、慎重に裏付けを取り
意外な展開を見せつつ進むストーリーから、目が離せませんでしたよ。

でもこの問題、誰が悪いんですかね。
製品自体に問題があれば、それは一方的に企業の責任ですが、そうではなく。
衛生的な水が確保できないと危険と知りながら、病院に売りまくった企業。
賄賂を受けとり、粉ミルクを処方しまくった医師たち。
正しい作り方をしなかった親たち。
それぞれに、それぞれの責任があるわけで。

罪がないのは赤ちゃんだけ。
子供が育たなければ、国は滅びますから。

だれかの私腹を肥やすために、子供が犠牲になるなんて、あってはないないことなのです。
危険をかえりみず、自分の子供のためだけでなく、国の子供全員のために立ち上がったアヤン。

その勇気に感動いたしました。


☆個人的見どころ
 ・悪いのは誰だ
 ・アヤンの秘密
 ・父の一言