3度の衝撃!?


『愚行録』
エリート会社員の田向(小出恵介)と、その美しい妻・友季恵(松本若菜)、幼い娘が惨殺される事件が。
犯人が見つからないまま一年、週刊誌記者の田中(妻夫木聡)は、その真相を追って、一家を知る者たちに取材を。
田向と友季恵の、大学時代の友人や元恋人から話を聞くと、一家の意外な姿が浮き彫りに。
そんな田中も、実の妹・光子(満島ひかり)が、育児放棄の疑いで逮捕されるという問題を抱えていて‥‥。

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原作は貫井徳郎さんの小説だそうです。
監督は石川慶さん。

「愚行録」。愚かな行いの記録。
誰のことかと思いきや
まさかの登場人物全員。笑

記者・田中が、関係者を通して見た、被害者の田向家。
同僚、同級生、元恋人など。
会う人会う人、田向や沙希の嫌なエピソードを持ってるのですが
言ってるそいつらも、たいがいで。

人間の心理と言いますか、とくに日本人は
「死んだ人のことを悪く言わない」
という風潮が根付いているのに
記者がやって来ての雑誌の取材、しかも未解決の殺人事件がテーマとなると
つい余計なことまで言ってしまう、みたいな。
負のサービス精神とでも言いましょうか。

でも、何か分かるんですよね。
そんなこと普段は言わないのに
突っつかれると、あふれだすように悪いことが出ちゃう時。

「じゃあ嫌いなんですね」
「いや、嫌いってわけじゃないんですよ」
みたいなやりとり、誰しも覚えがあるのでは。

要領よく生きて成功の道を歩むやつって、むかつくじゃないですか。
真面目にやってることを、バカにされてるような気になりますし。
でも、それにムカついてる自分も小さくて嫌で。
どこかで彼らを羨ましいとも思っている部分も。

そんな「要領の良い勝ち組」田向夫妻の過去を洗いながら
事件は徐々に真相へと。
ポスターに書かれている、3度の衝撃とはいったい‥‥。

しかしまあ、重い映画でしたよ。
人の嫌な部分を観るって、同時に自分の品性を測られてるような気にもなるじゃないですか。

何となく重いやろうなと想像はしていましたが
それを越えて、さらに重いものを喉から突っ込まれるような映画でした。
胃にくるな~。笑


☆個人的見どころ
 ・田向の悪びれなさ
 ・夜のカフェで
 ・お前かーい!