実話なんですって。
『マダム・フローレンス! 夢見るふたり』
ニューヨーク社交界のトップにいるマダム・フローレンス(メリル・ストリープ)。
音楽を愛する彼女は、自身もソプラノ歌手を目指すが、本人だけが気づいていないがかなりの音痴だった。
たまにコンサートを開く時は、年下の夫・シンクレア(ヒュー・グラント)がマスコミを買収し、理解者のみをl客に招き、悪評がたたぬよう細心の注意を。
そんなある日、ひょんなことがきっかけで、フローレンスの歌声が街の噂に。
気を良くした彼女は、あのカーネギーホールで歌いたいと言い出し‥‥。
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実在した女性フローレンス・フォスター・ジェンキンスのお話しですって。
監督は「あなたを抱きしめる日まで」などのスティーヴン・フリアーズ。
「素敵な実話」みたいな感じの扱いなんですけど
僕はどちらかと言うと、哀れなセレブの話だと受け取ってしまいました。
マダムは歌が大好きで。
音楽への愛情も並々ならぬものがあり
音楽家やコンサートへの献金は、全く惜しまないのですが。
それを良いことに、すり寄ってくる人間も少なくなく。
なので、マダム自身のコンサートも、「義理」で集まった客が、歌声をさておいて喝采を。
いや、マダム自身に、下手であることの自覚があれば別なんですよ。
「下手でも好き!みんな聴いて!」ならば。
でもどうやら。自分の歌にはどうやら自信がある様子。
これが問題で。
夫もまた食わせ物なんですよ。
いくら献身的に尽くしていても、財産が目当てであることは隠しようがなく。
少なからず気持ちはあったとしても、それは愛情ではなく、「情」ではないのかと。
まさに裸の王様、いや女王様状態で。
メリル・ストリープの演技はさすがで、笑いどころも多かったんですし
奔走する夫、気弱なピアニストも良い味付けになっていたのですが
これを「良い話」でまとめようとするのは、さすがに無理があったんじゃないかと。
こうやって映画になるなど、後世に名を残したものの
決してマダムの望んだ形ではなかったのでは‥‥と思うと
僕は少し複雑な気持ちになってしまいました。
☆個人的見どころ
・裏返る高音
・夫、奔走
・実際の歌声