突然の妻の死に…。
 


『永い言い訳』

人気小説家の津村啓(本木雅弘)は、本名の衣笠幸夫で呼ばれることをいつも嫌がっていた。

神経質で理屈っぽい幸夫は、美容室を経営する妻の夏子(深津絵里)にも、口を開けば嫌味ばかり。

そんな夏子が、旅行中にスキーバスの事故に遭い、突如この世を去るが、冷めきっていた

幸夫は悲しさを感じられず。

ある日、夏子の友人で、事故で共に命を落としたゆきの夫・陽一(竹原ピストル)と知り合う。

幸夫は成り行きで、陽一の家で彼の子供たちの面倒を見るため、彼の家に通うことになるが‥‥。

 

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「ディア・ドクター」などの、西川美和監督です。

直木賞候補にもなった自らの小説を映画化した作品なんですって。

 

本木さん演じる幸夫は、まあ嫌な男で。

全てを勝手に否定的にとらえ、自分の理屈で嫌味を言い

正論で言い返されると、「あなたの世界を僕に押し付けないでよ」と。

いるわ~。こういうやつ、いるわ~。

 

そんな偏屈な男に襲い掛かった、突然の妻の死。

悲しみは感じられなかったものの、ぽっかり心に穴が開き。

そんな時、同じ事故で妻を亡くした、トラック運転手の陽一と出会って。

陽一家族との交流の中で、自分の心の穴が埋まるように、欠けていた何かが戻って来るのです。

 

でも、それはやはり容易なことではなく。

自分の過去の言動が、自らの枷となり、ブレーキをかけてきて。

現在の生活に充実を感じるほど、過去の自分の、妻への態度が苦しくなって来るのです。

 

と、それは分かるのですけど

こういった、冷めきった夫婦を描いた映画を観て思うのは

きっと新婚当初や結婚間際とか、少なからず愛し合っていた時期があったのだろうと。

そこが少しでも分かるように描いてくれないと、

「なんでこんな男と結婚したの?」

っていうのが、どうしても頭の片隅から離れなくて。

 

結局幸夫は、自分の今後を立て直すために動いていたように見えて。

亡くなった夏子への懺悔を、僕はほとんど感じられず。

まあ、謝ったところで、何も取り返すことはできないんですけど。

 

最終的に、なんだか僕の中のモヤモヤが晴れないまま終わってしまいました。

なんと言うか、死んだ後に愛され始めても‥‥みたいな。

でもそんな僕の心のモヤモヤは、幸夫のモヤモヤそのものかもしれませんね。

 

陽一役の竹原ピストルさん、朴訥で不器用なトラック運転手を好演されてました。

もっといろんな映画で観たいっす。

 

 

☆個人的見どころ

 ・本木さんのめちゃくちゃ嫌な男っぷり

 ・好演・竹原ピストルさん

 ・やっと泣けた幸夫