就活サバイバルの中で。


『何者』
大学生の拓人(佐藤健)は就職活動中だが、なかなか思うように行かず。
同居人の光太郎(菅田将暉)、同級生の瑞月(有村架純)と彼女の友人・理香(二階堂ふみ)たちと、就活のための情報交換を始める。
皆、理想を語り、いかにして志望する企業に入るかを議論するが、現実は甘くなく。
自分の夢や、努力と苦悩をSNSに綴る。
やがて内定をもらう者が出てくると、嫉妬から苛立ちが表に出て、ついに本音がむき出しに‥‥。

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「桐島、部活やめるってよ」の朝井リョウさんが、直木賞を受賞された小説が原作です。
監督は劇団ポツドール主宰の三浦大輔さん。
ポツドールは、映画化もされたあの「愛の渦」の劇団ですよ。

僕は大学卒業してすぐ芸人を志したので、就職活動の経験がないのですが
当時はバブルがはじけた直後で、同級生たちがヒーヒー言っていたのを覚えています。

でもこの映画を観る限り、その頃とはまた違う大変さがあるようで。
大きく違うのは、パソコンとインターネットの存在でしょうね。
パソコンは当時もありましたけど、今よりもっと高級品で、1人1台とかの必須な物ではなかったですし。
今はもう、全員がパソコンとスマホを駆使して情報の取得と整理をする時代。

いわば顔が3つあるようなもんで。
友達同士の前で見せる顔
就活現場での顔
そして、SNSでの顔。
SNSで裏アカを持ってる人は、さらにもう1つ顔があって。
でも脳は1つ。

そんな、本音と建前を駆使するも、うまく使い分けれない若者たちのリアルを描いた映画でした。

いわゆるツイッターの裏アカなんて、若い子は持ってて当然の話なんですかね?
僕なんかそんな滅多に来ないですけど、そういうところからのコメントは、まあ毒々しい物が多い印象で。

きっと、書いてる本人も歯止めがきかないんでしょうね。
軽い気持ちで作ったら、だんだんそっちに体重が乗っかってしまい。
1本で良かった柱が、やがて2本になり、ついにはどちらがメインの柱か分からなくなったり。
そうなってしまった人は、その柱に寄りかからないと、立ってられなくなってしまうという。

という空気感は伝わってきたんですけど
そもそもの学生たちの付き合いが稀薄に見えて。
終盤でネタ明かし的な展開になるのですが、僕はそこまで意外性を感じられませんでした。

仲間だと言いつつ目が笑っていない関係性に
ゾクゾクと来る気味悪さはありましたけど。

ネット社会は便利だけれども、そこに寄りかからないと立ってられない若者が増えたのだろうか。
いや、若者だけに限ったことじゃないのかな。


☆個人的見どころ
 ・関係性の気味悪さ
 ・隆良くん(こういう人、いるいる)
 ・何者