重いっすよ‥‥。
 


『ある戦争』
アフガニスタンの紛争地帯に駐留しているデンマーク軍の部隊長クラウス。

死と隣り合わせの危険な任務に就きながら、母国で待つ妻と子供たちのことを想っていた。

ある日のパトロール中、タリバンの襲撃を受け、発砲されていると思われる方向へ空爆命令を出す。

しかしその場所には、民間人が。

クラウスは帰国後、子供を含む11人の民間人殺害で、軍法裁判にかけられてしまう‥‥。

 

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「偽りなき者」などの脚本家であるトビアス・リンホルムが監督です。

クラウス役はピルー・アスベック。

 

なんとまあ、観ててしんどい映画でしょうか。

映画自体じゃないですよ。そのストーリーが。

オープニングの地雷処理のシーンから、一気に背中に力が入ってしまって。

捕虜へのリンチや、ましてや虐殺など、あってはならないことで。
もちろん、争いに一般人を巻き込むなんて、もっての他。

そういったことがないように、それぞれの国の軍には法や規律があって、戦争犯罪を自浄しているわけですが。

 

でもね、軍人だけで戦争なんてできるわけないじゃないですか。

どこかで戦争や紛争がある限り、絶対に一般人は巻き込まれてしまうんです。

自分の命が常に危険にさらされているような状況で、規則を第一に動けるわけがないんですよ。

あ、戦争自体が「仕方ない」と思っているわけじゃないですよ。1ミリたりとも。

 

はっきり言っちゃえば、他国へのポーズもあるんでしょうね。

戦地で起こるトラブル。

「疑わしきは罰する」くらいの勢いで。

「うちの国は、ちゃんとやってまっせ」と。

 

兵士たちは自国のために、家族のために、戦地で勤務しているわけで。

なのに、国が定めた軍法は、自分の側に立ってくれないという。

そういった矛盾が、痛いほどに伝わってくる映画でした。

 

戦地での凄惨な現状を体感している兵士と

それを報告書と動画だけで裁く文官とでは、温度差があって当然。

 

それは分かるんですけど、この映画の検事(と言うんですかね?)の女性は、喜々として罪を押し付けているように見えて。

そうなっちゃうと、話の筋としてブレちゃうなと。

もっとクールに、「いや、罪は罪ですから」みたいなキャラでやってくれた方が

戦地と裁判所の温度差が浮き彫りになって、さらに良かったんじゃないかと。僕は思いました。

 

 

☆個人的見どころ

 ・戦地の緊張感

 ・検事の意地悪っぷり

 ・裁判の結果は