実際の話ですって。


『ニュースの真相』
ジョージ・W・ブッシュがアメリカ大統領再選を目指していた2004年。
ダン・ラザー(ロバート・レッドフォード)司会の報道番組で、ブッシュの軍歴詐称疑惑がスクープされると世間は大騒ぎに。
仕掛けたのは、番組プロデューサーのメアリー・メイプス(ケイト・ブランシェット)。
しかし、証拠となった書類が偽造されたものだとブロガーに指摘されると、世間の矛先は一転。
ダンやメアリーたち番組スタッフは、猛烈なバッシングを浴びることに‥‥。

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監督・脚本はジェームズ・ヴァンダービルト。
「インデペンデンスデイ リサージェンス」や、「ホワイトハウス・ダウン」などを手掛けた脚本家さんです。

世論の恐ろしさをと強大さを、改めて感じましたよ。
まるで、一つの国ぐらいなら簡単に呑み込むバケモノのよう。

この問題のキモは、ニュースの発信者側と、世間の受け取り方の大きなズレです
ね。
メアリー側は、ブッシュの軍歴詐称疑惑を追究したい。
なのにいつしか話題は、一枚の資料が偽造かどうかの一点に。

そうなんです。
いつの間にか、論点をずらされてしまっているのです。

これはもう、日本でもよくあるような話で。
物事の本質をさておいて、付随する小さな矛盾に対して、執拗に叩き続けるごく一部の人たち。
それがまれに、大きな渦に。
ちょっと落ち着きなはれと言いたくなるような。

ブッシュの兵役逃れを追究したいメアリー。
彼女の調査を信頼するダン。
しかし一つの矛盾が大きなほころびとなり
ついには、人格まで否定されるような言葉を浴びせられるまでに。

正しい報道だと信じ、頑として揺るがないメアリーが
世論に飲まれ、叩かれ、少しずつ疲弊して行く様子を、
ケイト・ブランシェットが、御本人であるかのような迫真の演技で見せてくださいました。

報道にミスがあっては絶対にいけない。
でも、1つのミスでもっと大きな罪が打ち消されるのは、もっといけない。
その流れに立ち向かおうとした、メアリーたちの運命やいかに。

これ、ブッシュ側のニュース潰しの戦略だとすると、恐ろしいですね。
世論の流れを、完全にコントロールしたわけですから。
兵役逃れの件も含め、実際にはどうだったんだろうか?

その辺の真相もちゃんと知りたかったなあ。


☆個人的見どころ
 ・流れに飲み込まれるメアリーたち
 ・ダンの決断
 ・その後のメアリーは