『花芯』
親が決めた相手と結婚し、子供も授かるが、夫(林遣都)への愛情が希薄な園子(村川絵梨)。
ある日、夫の転勤で京都に移住することに。
そこで出会った、夫の上司である越智(安藤政信)に恋心を抱いてしまう。
園子は、生まれて初めての感情に戸惑うが、想いは大きくなるばかり。
しかし越智は、園子たちの大家であるずっと年上の女性と、肉体関係にあった‥‥。
---------------
監督は「海を感じる時」などの安藤尋さん。
原作は瀬戸内寂聴さんの小説なんですって。
その過激な内容から、当時は「子宮作家」と呼ばれ、文芸界から干されてしまったとか。時代ですねえ。
時代のせいとでも言いましょうか。
厳格な家庭では、娘が父親が決めた相手と結婚するなんて、よくあった話なわけで。
もちろん、その相手との相性が良いか悪いかなんて、事前に分かるはずもなく。
園子は、ただ機械的に結婚し、結婚生活を送り、子を授かり、日々をす過ごすのですが。
越智という夫の上司に出会った時、初めて恋心のようなものが芽生えるのです。
要するに、「ドキドキするか」「しないか」なんですよね。きっと。
園子の判断基準は。
親が決めた結婚相手なんて、全くドキドキしない。
ところが、「この相手と関係を持ってはダメだ」となると、がぜん燃えるっていう。
燃えないと感情が動かないんですな。
それはまあ分かるんですけど、恋愛のスイッチが入ってない時の冷めっぷりが極端で。
夫への態度なんて、新婚当初から驚くほど冷徹。自分の子供にさえも。
嘘でももう少し取り繕うのではないかなあと。
村川絵梨さんは、それこそ体当たりで濡れ場も演じてらっしゃったんですけど。
ちょっと演出的に、感情の振り幅が激し過ぎるのではと思ってしまいました。
気に入った男の前でなら急にスイッチ入るとかなら納得行ったんですけど、そういう風でもなかったので。
でも、逆に考えると園子は正直だったのかも。
建前で行動できない。相手が誰であっても。
今よりさらに、モラルが求められた時代ですからね。
そんな中、こういう風に生きた園子は、ある意味で勇気のかたまりですな。
この小説が発表されたのは、60年も前のことだそうで。
攻めてたんですね~。寂聴さん。
☆個人的見どころ
・結局気持ち良い
・大家のおばはん
・近所の学生
(8月6日公開予定)