実話ですって!


『殿、利息でござる!』

江戸中期。財政難に陥っていた仙台藩は、住民たちに重税を課していた。

小さな宿場町である吉岡宿でも、生活が困窮して夜逃げする住民が続出。

そんな折、篤平治(瑛太)と十三郎(阿部サダヲ)を中心とする商人有志は、ある作戦を思いつく。

それは、藩にお金を貸し、毎年利息を得て宿場の暮らしを楽にしようというものだった。

だがそれには、三千両という莫大な資金が必要で、十三郎たちが私財を投げ打っても全然足りず‥‥。


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「武士の家計簿」の原作者・磯田道史さんの短編が原作だそうです。

監督は「チーム・バチスタの栄光」「ゴールデン・スランバー」などの、中村義洋さん。

出演は、上記のお二人に加え、妻夫木聡さんや松田龍平さん、竹内結子さんなどなど、豪華キャスト。

さらになぜか、羽生結弦さんがサプライズ出演しております。なんで?笑


いや~。面白かったですよ。こりゃあ。

古き良き日本の心、というとアレですが。

今はもう失われたに等しい、かつての日本人が美徳としていた、自己犠牲の精神が詰まってましたね。


徳川家って凄いじゃないですか。

一つの国を、世襲制で約三百年に渡って統治していて。

そこにはやはり、圧政があったわけで。


下々の人々は、いくさに怯えることこそないものの、決して暮らしは裕福ではなく。

そんな圧政の中、いかに自分たちの暮らしを楽にすればいいのか。

いかにすれば、自分たちの子や孫、ひ孫が、より良い暮らしを送れるのか。


一揆やクーデターを起こすわけじゃないんですよね。

体制を引っくり返す考えなんて、毛頭なくて。

決められた枠組みの中で、自分たちの出来うることを真剣に考えて実行した、吉岡宿の人々。


細かく散りばめられたギャグに笑わされつつも

いつしか十三郎たちの熱い想いに引き込まれ。

気づけばこちらの胸も熱くなっちゃってました。

ええ話しや。これはええ話しや。


これが、フィクションなら「そんな美談、ありえへんわ」で、終わりなんですけど。

実話やって言うのが驚きですよ。


キャストの皆さんも、それぞれにキャラクターにハマっていて。

特に、藩の財政を牛耳ってる、松田龍平さんが怖いのなんの。笑

そして、宿場のことを考えつつも、できのいい弟にコンプレックスを抱き続けている十三郎を演じる阿部サダヲさん。

楽しいところも辛いところも、役者さんたちが生き生きと演じているのが見えましたよ。


そして映画の最後には、現在の‥‥ここはぜひ映画館で観てくださいな。

一般人はおろか、政治家まで「他」よりも「自」なこのご時世ですから。

古き良き時代に、「自」よりも「他」のために生きた日本人の物語を観て、自分も姿勢を正さねばと思いました。



☆個人的見どころ

 ・ドケチの理由

 ・飲み屋のおかみさん素敵

 ・そして現在は‥‥