『ブリッジ・オブ・スパイ』
東西冷戦の時代。ソ連のスパイとしてFBIに逮捕されたアベルの弁護を依頼されたのは、保険関連が専門の弁護士ドノヴァン。
敵国のスパイを弁護することで、周囲から非難を浴びるが、彼は弁護士としての仕事を遂行。
アベルは、死刑執行が当然だと思われていたところを、無期懲役で免れる。
5年後、アメリカの偵察機がソ連上空で撃墜され、パイロットが捕虜になるという事件が。
ドノヴァンは、自身が弁護したアベルと、パイロットのパワーズの交換という任務をCIAから依頼され、単身で東ドイツに渡る‥‥。
---------------
スピルバーグ監督×トム・ハンクス主演は、「ターミナル」以来ですって。
しかも脚本は、「ノーカントリー」のコーエン兄弟が担当。
冷戦時代の実話がモデルということで
世界の司法のあり方の転機になった、一つの事件なんですね。
「目には目を」のやり方は、どこかで止めなければならないと。
どんな人間であれ、法の下に公平であらねばならないと。
使命を感じ、動いたのがこのドノヴァンで。
この時代の交渉の何がスリリングかって、情報が全て人対人なんですよね。
ネットなんて全くない頃ですから。
手元に渡ってくる情報は、文字と画質の悪い写真のみ。
交渉している相手が信用できるのか、ならまだしも。
その交渉相手が、思っている本人なのかどうか。
味方側にさえ、連絡を自由に取れる状況ではなく。
ドノヴァンは、交渉におけるそのほとんど全ての判断を、自ら下さなければならないわけで。
しかも東西冷戦の真っ只中。
一つのミスが、人質はおろか、自分の命さえ危うくしてしまうのです。
その辺りの緊張感が、スクリーンの隅々から伝わってくる映画ですよ。
特にクライマックスの緊張感たるや。たまらんですよ。
もちろんそこが見どころなんですけど
僕は全て終わった後の、ドノヴァンの奥さんの表情にグッと来ましたよ。
ええ嫁やで。
現場が、ベルリンの壁の建設真っ只中の、超不安定な東ドイツで。
そこに単身乗り込み、取引を成立させねばならないんですから。
並大抵の腹のくくり方ではなかったんじゃないかなと。
ドノヴァンは、アベルの人柄に惹かれたのもあったのでしょうけど。
なぜそんな危険な依頼を受けたのかが、ちょっと気になって。
弁護士としての、プロ中のプロなわけですけど、愛する家族もいるわけですし。
欲を言えば、その辺の動機付けを、もうちょっと重めに欲しかったですね。
☆個人的見どころ
・弁護士の鏡ドノヴァン
・橋の上の緊張感
・ええ嫁