『ラスト・ナイツ』
ある帝国で、国王に取り入って我が物顔で幅をきかせる強欲な大臣。
大臣からの賄賂を断った上、彼に歯向かったバルトーク卿(モーガン・フリーマン)は反逆罪に問われ、想い判決がくだる。
それは、愛弟子のライデン隊長(クライヴ・オーウェン)の手によっての斬首だった。
1年後、バルトークの一族は領地を追われ散り散りになり、ライデンは酒とギャンブルにまみれて堕落。
しかし一部の騎士たちは、いつか大臣に復讐しようと、密かに計画を練り続けていた‥‥。
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<一番下にネタバレがあるので御注意を>
「CASSHERN」「GOEMON」の紀里谷和明監督の、ハリウッドデビュー作です。
日本人では、ライデンのライバル役として出演。伊原剛志さんが出演。
忠臣蔵がモチーフになっているのですね。
主君を辱められて殺され、行き場を失くし、剣も奪われた騎士たち。
でも、主君への忠誠と騎士のプライド消えず。消せず。
自分たちの命を賭して、主君の仇を取るために動くのです。
映像の雰囲気が抜群に良いですね。
北欧のような、雪深い国と、白が基調の城に
騎士の黒い剣と甲冑が映えて。
西洋風でありながら、ところどころ和のテイストも入れつつ。
ストーリーも、日本人好みな「義」の話を、外国人にも分かりやすくアレンジしてあって。
これは騎士の話ではあるけど、武士の話なんですね。
絶望の淵から、さらに堕ちていくライデン。
悲しみは深く、生活は堕落の一途。
そのライデンに怒り、あきれる妻とかつての部下たち。
そのライデンが、いかにして立ち直るのか。
いや、立ち直れるのか。
「かたき討ち」というシンプルなストーリーの中にも、いろいろ仕掛けがあって、見応えがありました。
ただ、世界観と雰囲気はすごく良かったですし。
モーガン・フリーマンやクライヴ・オーウェンの重厚なお芝居や
彼らに負けない存在感を出していた伊原剛志さんも素敵だったのですが。
肝心な殺陣のシーンが、どうにも軽く感じてしまって。
そこがすごくもったいなく感じてしまいました。
真剣同士のせめぎ合いのリアリティよりは、立ち振る舞いの美しさを重視してしまったんでしょうか。
とは言いつつ、「CASSHERN」「GOEMON」と来て、この映画が一番好きです。
紀里谷監督作品の中で。
次回作も期待しちゃうっす。
☆個人的見どころ
・白と黒の世界
・伊原さんカッコ良い!
・そしてライデンは‥‥
<ここからネタバレ注意!>
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結局、ライデンたちは復讐を果たし、国民の英雄みたいになっちゃうのですが。
民衆はいいけど、王がその英雄っぷりを認めるのはおかしいんじゃないかなと。
世論を汲まなきゃいけないのは分かりますけど、大臣は自身が徴用していた側近なんですから。
その側近が殺されて、殺した側を少しでも認めるのは、すなわち自分の無能と無力を認める行為になるので。
なのでライデン一人だけ‥‥と言うのは、なんかいまいち飲み込めないラストでした。