『ロマンス』
特急ロマンスカーで、車内販売の仕事をしている鉢子(大島優子)。
ある日の仕事中、ワゴンからお菓子を万引きした怪しげな男・桜庭(大倉孝二)を捕まえる。
その男と駅長室に行っている間に、戻りのロマンスカーは出発してしまい、鉢子は次の列車を待つことに。
その間に、鉢子が嫌い、疎遠にしていた母から来た久しぶりの手紙を、その男に読まれてしまう。
男は、その母を今から一緒に探そうと、強引に鉢子の手を引き‥‥。
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「百万円と苦虫女」「四十九日のレシピ」などのタナダユキさんが監督・脚本です。
毎日仕事をしながらも、どこか虚無感を感じている様子の鉢子。
その原因の一つは、きっと疎遠になっている母親で。
彼女の心の中のモヤモヤが、ある日届いた母からの手紙で急激に膨らみ。
桜庭の強引な説得に戸惑いながらも、仕事を放って箱根の街へ。
でもそんな桜庭も、実は心にモヤモヤを抱えていて‥‥。
と、ざっくり言うとこうなんですけど。
予告編を見ていたときに、万引き犯として出会った桜庭と、なんで2人で母親を探し回ることになるのかと思っていて。
そこに納得させてもらえるだけの理由があるのか。そこが一番気になっていたんですが。
結果的に、僕はちょっと納得できるまでに至りませんでした。
桜庭はどんな状況にせよ、いわば犯罪者で。
しかも一回逃げようとしてるし、印象は最悪。
毛嫌いすることはあっても、鉢子が彼を信用する理由は、1ミリもなかったと思うんですよね。
どんな事情があれ、そんな男に強引に手を引かれて、ついて行きます?
男前の役者さんではなく、大倉さんだった理由は(失礼)、
「男前だったから着いて行ったんだろ」
という感情を消させたいからかなと思ったのですけど。
だったら逆に、「顔が良いし」の方が、理由の一つとして、僕は納得できたんじゃないかなと。
いや、大倉さんは桜庭という男を好演してらっしゃったんですよ。好きな役者さんですし。
鉢子の母を探すという名目で、箱根の街をさまよう中
気づけば、堕ちるところまで堕ちようとしている2人。
そんな2人がお互いを知るにつれ、自然と心の毒素が流れ出て行くような展開は、ほんのり暖かくなるような素敵さがあって。
だからこそ、出会いのきっかけだけが残念やな~と、僕は思ってしまいました。
☆個人的見どころ
・2人の距離感
・箱根の街
・鉢子ちゃん良い笑顔