性って複雑。



『彼は秘密の女ともだち』

子供の頃からの大親友ローラを亡くした主婦のクレール。

ローラの葬儀でクレールは、残された彼女の夫ダビッドと、幼い娘リュシーを守ることを誓う。

ある日、2人の様子を見にダビッドの家を訪れたクレールは、信じられない光景を目撃する。

なんとダビッドが、亡き妻の服を着てメイクもし、女装をして娘をあやしていたのだ。

眠っていた自分に目覚めたというダビッドを、クレールは戸惑いながらも徐々に受け入れ始めるが‥‥。


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フランス映画ですよ。


最初は、急に女装に目覚めたおじさんを主役にした、コメディタッチな映画かと思いきや。

意外なほど、性の問題について真剣に描かれてあって。


妻の死をきっかけに、女装に目覚めたダビッド。

でも、性の対象が男性になったのかというと、そういうわけでもなくて。

一方のクレール。

クレールの大親友ローラとは、ちょっとレズ的な関係を匂わせる表現もあって。


最初は、こっそり女装をするだけのダビッドだったんですが

徐々にその姿で買い物に行ったり、食事に行ったり。

少しずつ自分に正直になっていくダビッドを見て、クレールも自分を見つめ直すきっかけになるのですね。


そんなダビッドを、ただ支援するだけの立場を取っていたクレールだったんですが。

距離が近づくにつれて、親友のダンナだから仲良くしているのか

女友達として心を許し始めたのか

許されない恋愛感情に目覚めてしまったのか

ダビッドとの距離と、自分の感情に悩んじゃうのです。

もちろん、自分にも夫がいて。


人間誰しも、いいたくない性の秘密の一つや二つあるでしょうよ。

それが、恋愛の対象が同性だとか、女装癖がどうという話になってくると、これは複雑で。

昔に比べてオープンになってきたとはいえ、まだまだ奇異な目で見られたりもするわけですから。

そこをカミングアウトすることは、それはもう勇気のいることだと思うのです。きっと。

そんな人を間近に見て、揺さぶられるクレールの心情が丁寧に描かれておりました。


ラストはこれまた意外。

もう、性と恋愛のベクトルがどこに向かっているのやら。

決して陽気な映画ではないですけど、スクリーンから目が離せませんでした。



☆個人的見どころ

 ・性って複雑

 ・脱ぎまくるクレール

 ・そして2人の関係は‥‥