『追憶と、踊りながら』
ロンドンの介護ホームで暮らす、カンボジア系中国人のジュン。
彼女は、息子カイの訪問を楽しみにしていたが、カイは若くして亡くなってしまう。
代わってホームに現れるようになったのは、カイの親友リチャードだが、ジュンは彼を嫌っていた。
実はリチャードとカイは、ゲイであり恋人同士で、その事をジュンにカミングアウトできずに悩んでいたのだ。
ある日リチャードは、英語のできないジュンに好意を寄せる、白人のアランとの仲を取り持つため、通訳を雇うが‥‥。
---------------
カンボジア出身のホン・カウ監督です。
なんとまあ、ややこしいお話ですよね。
同棲しているゲイのカップル。
その一人、カイが亡くなり、彼の母親が老人ホームにいるのですが。
遺されたリチャードは、彼との関係を、彼の母・ジュンにどう説明すればいいのか。
今後どうしてあげればいいのか。
ただでさえもどかしいのに、言語も通じ合わないから、さらにややこしい。
とにかくまあ、リチャードが優しいんですよ。
愛した人の母親ですから。
一方、ジュンは、ま~偏屈な頑固者で。
リチャードが、手を変え品を変えでご機嫌を取ろうとしても
どの角度からでも嫌味で返しよるんです。
逆にすごいわ。
ジュンはカイを愛し
リチャードもカイを愛し
2人は同じ人を、心から愛していたのに
その2人の間には、目に見えない深い溝が。
ジュンがリチャードを毛嫌いしていたのもあるのですが
リチャードも、ジュンを腫れ物に触るように扱っていたのが、一因でもあるのかな。
正直、共感できるところは少ないですよね。
同性愛の人の気持ちは、結局僕なんかには分からないんですよ。
分かりたくても分かれないし
分かったつもりでも、分かってないんです。
ただ、母から子への愛は万国共通ですし。
結局母は、愛する子を愛してくれる人を、心からは憎めないんです。
最初は、「なんだこの偏屈ばばあ」と。
「お前もしっかりせいよ、このヤサ男!」と
思っていたのですが。
最後は胸にグッと来るものがありましたね。
果たしてリチャードはカミングアウトできるのでしょうか。
その時、ジュンはその事実を受け入れることをできるのでしょうか。
☆個人的見どころ
・ジュンとリチャードの微妙な空気
・困る通訳姉さん
・結局何だったんだ白人のじいさん