原案・手塚治虫先生!


『トイレのピエタ』

美大を卒業したが、画家への道を諦めてしまった宏(野田洋次郎)は、窓拭きのバイトをしながらなんとなく生きていた。

ある日、仕事中に倒れてしまい、病院で検査をしたところ、肉親を呼んでくれとのこと。

親を呼ぶ気にはなれず、偶然そこにいた女子高生・真衣(杉咲花)に妹役を頼み、医師の元へ。

そこで宏に告げられたのは、このままだと余命3ヶ月だということ。

宏は、死の影に怯えながらも、何をしていいのか分からず、ただ時が流れてしまう‥‥。


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手塚治虫先生が、病床で綴っていた日記に着想を得て作られた、オリジナルストーリーなんですって。

監督は長編は初だという松永大司さん。

主演はロックバンド「RADWINPS」の野田洋次郎さん。

なんと映画初出演にして初主演!


夢が破れてしまった後、ぼーっと暮らす人は少なからずいるのでしょうか。

そういう人の一人が宏で。

次にやることが見つからず、見つけることもせず、ただその日を暮らしていたら

まさかの余命宣告。


しかしそれでも、宏はピンと来なかったんですが

そこに居合わせたのが、女子高生の真衣。

ま~こいつが、歯に衣着せぬ物言いで。

そいつに感情をグラングラン揺さぶられているうちに、やっと自分の人生を見直すのです。

とにかくもう、真衣役の杉咲花さんが素晴らしかったです。
頭のてっぺんから爪先までを使って、感情を表現するような。
これから先何十年も、女優として活躍される方でしょうし

どんどん完成されて行くのでしょうけど

今しか出ないような輝きを放ってらっしゃいましたよ。


そして映画初出演にして初主演の野田洋次郎さん。

無表情で淡々と見せるお芝居が印象的で。

ただ、それを「味」ととるか「素人っぽい」と取るかで、この映画の評価が大きく変わりそうですね。

もっと他の役も観てみたいっすなあ。


全体的には、死が近づくにつれてやっと素直になろうとする宏の物語に引き込まれたのですが

僕はもっと、宏と真衣の「恋」を見たかったです。

お互い、少なからずそういう気持ちがあったんじゃないかなと思ったんですけど。

少なからず宏には。


いや、まったくもって恋じゃないならそれでいいんですけどね。

その辺の描き方を、半端に感じてしまったので。

あ、ラブシーンを見せろって言ってるんじゃないですよ。


しかし、「手塚先生の病床の日記に着想を得た」って。

何が、どんなふうに書かれてたのか、気になるな~。



☆個人的見どころ

 ・杉咲花さん

 ・金魚プール

 ・トイレのピエタ