ロスト・ボーイズ。


『グッド・ライ ~いちばん優しい嘘~』
1983年、スーダンで内戦が勃発し、親や家を失った子供の数は10万人以上に。
マメールと兄妹たちも村を襲われ、命からがら逃げ延びる。
そして子供たちだけで、1,000km以上もの距離を歩き、難民キャンプに到着。
十数年後、「ロストボーイズ」という計画により、マメールたちはアメリカに移住できることに。
彼らを出迎えた、職業紹介所のキャリーは、マクドナルドもピザも電話も知らない彼らに、戸惑いを隠せず‥‥。

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「ぼくたちのムッシュ・ラザール」の、フィリップ・ファラルドー監督です。
主演はリース・ウィザースプーン。
主演とはなってますけど、これは建前上(というと失礼かもですが)みたいなもので、実際はスーダンの難民たちがメインです。

もう、壮絶な物語ですよね。
何もない村で穏やかに暮らしていたら、いきなり武装した兵士に村を壊され家族を殺され。
助かる確約なんてないのに
「あっちは大丈夫らしい」
と、人づてに聞いた噂話だけで、水さえ手に入りにくいサバンナを、延々と歩かなければならないなんて。

「すごいなー」
とかのレベルじゃないんですよ。
そうするしかないんです。

でないとその場で死ぬだけだから。

アメリカの難民救済策も、もちろん全員を救えるわけではなく。
さらには、上が決めたことに、現場はいつも大混乱。
そしてそれに振り回されるのは、当事者の難民たち。
でも、そこに頼るしかないのです。
彼らの望みは、そこにしかないから。

幸運なことにアメリカに渡れても、そこは異文化。
親切な人はたくさんいます。
ただ多くの人は、他人のことより、自分の生活や家族を守ることに必死なのです。
アメリカが冷たいとかではなく、都会で生きるって、そういうことだと思いますし。

そんな中でも彼らは
環境に戸惑いながらも馴染もうとしつつ、譲れないところもありつつ。
家族と、時に故郷を想いながら、懸命に生きるのです。

いろいろと考えさせられましたね。

便利に生きるためには、いろんな無駄を排除しなければならないのですが。

無駄だからって、無価値なわけではないのだと。

改めて感じられる映画でした。

難民役の人たちは、実際にスーダンの元難民たちが演じているんですって。
あの皆の朴訥なたたずまいは、そういうことだったのか。

そして終盤には、驚きの展開が。
グッド・ライ。
優しく、人のためになる嘘という意味ですが。
僕には辛い嘘やったなあ。
辛く、そして絆の強さを感じる嘘でした。


☆個人的見どころ
 ・過酷すぎるスーダン
 ・異文化交流
 ・グッド・ライ