『さよなら歌舞伎町』
歌舞伎町のラブホで店長をしている徹(染谷将太)は、自分の彼女にもまわりにも、一流ホテルに
勤めていると偽っていた。
同居している彼女の、ミュージシャン志望の沙耶(前田敦子)とは、最近倦怠期気味。
ホテルの清掃員のおばさんは、時効を間近に身を隠す犯罪者と同棲中。
そんなホテルには、今日も風俗のスカウトマンと家で少女や、不倫中の刑事のカップルなど、さまざまな客が訪れる‥‥。
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いわゆるグランドホテル方式の映画です。群像劇というか。
それをラブホテルでやってるのですね。
染谷さん、前田さんの他には
松重豊さん、南果歩さん、大森南朋さん、田口トモロヲさんなどなど、実力派の役者さん揃い。
舞台が歌舞伎町のラブホっていうのが、いいですよね。
アジア有数の歓楽街ですし、隣は韓国街でお馴染の大久保ですし。
普通なら、「いや、そんないっぺんにいろいろ起これへんわ~」なんて思いそうなところなのに
そこなら、何が起こってもおかしくない、誰が来ても、誰がいてもおかしくないような。
華やかな場所の狭間にあって、だからこその危うさを含んでいて。
そんなこんなで、いろんな事情を抱えた男女が、そこを訪れるのですが
そこを仕切る店長の徹は、いつもイライラ。
「俺はこんなところにいる男じゃない」
と絶えず思っていて。
そりゃ、たいがいの人間はそう思うでしょうね。あの労働環境では。
そんな徹のストレスメーターが溜まっていくところや
それがついに‥‥なところは観てて興味深く。
なおかつ、自分が普段うろうろしている新宿の街をスクリーンで観るのも、なんか不思議な感覚だったんですが。
全体的に、重暗く。
訳ありカップルの人生が重なり合い、最後にドーンと1本化されるのかと思いきや、そうでもなく。
なんだか物寂しさを残したまま、終わった印象でした。
しみじみ系が好きならば良しですけど、僕はもっと全体を巻き込んで欲しかったです。
しかし、前田さんが弾き語るシーンは必要なかったような。
ミュージシャン志望というわりには、演奏が‥‥な感じが否めなかったので。
歌声と曲は好きなんですけどね。
☆個人的見どころ
・散々な徹
・月のあかり
・自転車いります?