宮沢りえさん!
『紙の月』
バブル崩壊直後の1994年。主婦をやるかたわら、銀行の契約社員として働く梨花(宮沢りえ)。
丁寧な接客や周囲への気配りが評価され、徐々に顧客や上司の信頼を得るように。
だが、仕事熱心だが自分にあまり関心がない夫への不満や、仕事へのストレスから、偶然知り合った大学生・光太(池松壮亮)と不倫関係に陥る。
密会を重ねるうち、金銭感覚が麻痺してきた梨花。
そんなある日、買い物代金が足りなくなり、顧客から預かった1万円を使ったことで、梨花の中の何かが崩れる‥‥。
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主演は宮沢りえさん。
監督は、「桐島、部活やめるってよ」の吉田大八さん。
原作は、「八日目の蝉」の、角田光代さん。
なんて素敵なラインナップ!
梨花の心情の描写がすごく丁寧でした。
職場でも認められ、家には優しい夫がいる、一見幸せそうな女性。
でも、その夫の優しさは、いつも少しズレていて。
そのたび、少しずつストレスが溜まり。
仕事場でも、自分と違う感覚をもつ人たちとの関係に悩み。
0から1歩目を踏み出すまでって、徐々になんですよね。悪いことって。
いろんなことが積み重なって積み重なって、最後のきっかけがあって、わ~っと。
多くの人は、そこに行くまでに思いとどまるのですけど。
ところが、いざ1歩目を踏んでしまえば2歩、10歩、100歩は、あっという間。
ごく普通の主婦がそうやって深みにはまっていく姿を、宮沢さんが怪しく美しく演じてらっしゃいました。
脇の役者さんたちも、みなさん胡散臭くて素敵で。
特に小林聡美さん。
この映画の鍵となる、梨花の職場の先輩女性役・隅役で。
人を上から見ているのか関心がないのか。
仕事ぶりは几帳面ながら、何を考えているか分からない不敵な女性を怪演してらっしゃいました。
大島優子さんは、僕はあまりお芝居のイメージがなかったんですけど。
仕事も恋愛も、軽~くこなして、最後はちゃっかり、な若い女子役が、見事にハマってました。
前田敦子さんも、「もらとりあむタマ子」で好演してらっしゃいましたし。
恐るべし元AKB。
池松さんもいいんですよね。
典型的な女でダメになる男をリアルに演じていて。
しかし池松さん羨ましいなあ。
あの宮沢りえさんと濡れ場なんて!
サンタフェ!(←世代)
「海を感じる時」で、市川由衣さんと。
「愛の渦」では、門脇麦さんと、ですし。
こりゃあもう、「平成の火野正平」襲名決定ですよ。勝手にすんません。
終わり方については、賛否両論あるでしょうけど。
僕は、「おお、そうなったか~」とは思いましけど、グッとは来なかったです。
理由を言うとネタバレになっちゃうから内緒。
モラルのブレーキが壊れた人間を観る恐ろしさと、ほんのちょっとの羨ましさ。
見応えたっぷりでした。
☆個人的見どころ
・絶頂と絶望と
・梨花vs隅
・美しいランニングフォーム