『イン・ザ・ヒーロー』
本城渉（唐沢寿明）は、キャリア２５年で日本を代表するスーツアクターだが、仕事に没頭するあまり、妻と娘に逃げられてしまった。
しかも、念願である顔出しでの出演も、なかなかかなわず。
そんな時、劇場版作品で、一ノ瀬リョウ（福士蒼汰）という人気若手俳優と共演することになるが、スーツアクターに敬意を払わない彼と対立。
だが一ノ瀬も、本城のプロ意識の高さと熱意で、少しずつ心を開いて行く。
そんなある日、日本で撮影中のハリウッド大作に出演するスタントマンが、アクションの危険さに仕事を降りたという話が舞い込み‥‥。
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自身もブルース・リーに憧れ、アクション俳優を志しながらスーツ・アクターをやっていた経験があるという唐沢寿明さん。
アクションのキレはさすがです。かっこいい！
監督は武正晴さん。
刺さる映画でしたよ。これは。
劇中にもそういうセリフが出てくるのですが、日本に「アクション俳優」って、今はいないですよね。
アクションをメインにしている、有名な俳優さん。
もちろん、千葉真一さんや真田広之さんはいらっしゃいますが、それ以降ってことで言うと。
「アクションもできる俳優さん」という扱いになるのでしょうか。
でも、アクション俳優に憧れる若者は、今もたくさんいて。
その登竜門的仕事が、スーツアクターで。
大変な仕事ですね。
子供に夢を与えるっちゃあ、聞こえがいいですが。
子供は、その夢を与えてくれてる相手の、顔も名前も知らなくて。
だからって、手は抜けない。ケガはつきもの。ギャラもきっと、そんなに‥‥。
そこをきっかけに、アクションスターになろうとした本城。
しかし、顔出しの仕事は来ず、気づけばスーツアクター界の第一人者になり、
いつしか年齢も、若いとは言えない年に。
葛藤がすごい伝わって来たんですよ。本城の。
スーツアクターという仕事を誇りに思っているものの
顔出しでスクリーンに出たいという夢も持ち続け
気づけばおっさんの年齢で、あせりもあるが
体はどんどん無理がきかなくなってくる‥‥
でも、準備を怠らないんです。二十年以上も。
いつ、どんな仕事が来てもいいように。
それはきっと、並大抵の気持ちの強さではなくて。
本当に、本城という苦労人の役者が、自身の役をもらったようでしたよ。
唐沢さんの抱いていた夢と生き様が、本城に乗り移ったかのように。
ただ、物語を見やすくする意図だったんでしょうけど
福士さん演じる一ノ瀬を、必要以上に感じ悪い役で登場させたのは、ちょっと不自然でしたね。
志が高いのならば、あんな態度にならないですよ。
唯一気になったのは、そこっす。
陽の当たらない世界から、明るい地上に出ようとあがく本城。
つい涙してしまうシーンが、いくつもありました。
元気と励みを分けてもらえる、素敵な映画でございましたよ。
☆個人的見どころ
・アクション俳優・本城渉
・大立ち回り
・やっぱり渋い松方弘樹さん