『グォさんの仮装大賞』
妻に先立たれたグォさんは、友人チョウさんのいる老人ホームへ。
亡くなった妻は後妻で、先妻との間の息子とは折り合いが悪く、孫の結婚式に行っても追い返されてしまう。
ホームでの日々は退屈で、日に日に衰えを感じ、生きる気力もなくしていくグォさん。
そんなある日、チョウさんが人気番組「仮装大賞」に出ようと持ちかける。
老人たちはにわかに活気づくが、ホームの院長や入居者の家族たちに猛反対されてしまい‥‥。
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「東京国際映画祭」で上映され、話題になったという作品です。
高齢化問題は、日本だけのことではないようで。
生きていれば、やがてみんな老いるのです。
そして、全員が全員、幸せな老後を過ごせるわけではないのです。
グォさんは、先妻の息子との折り合いが悪く。
あることがきっかけで、20年も音信不通状態。
風の噂に聞いた孫の結婚式を覗けば、罵倒され追い返される始末。
行き場がなく、転がり込むように入った老人ホームには、自分の数年後を現しているかのような。
認知症になったり、足腰が悪くなってしまって、ただ静かに余生を過ごしている人たちが大勢。
グォさん自身も、急激な衰えを感じ、自分の人生はいったい何だったのかと涙をこぼすのです。
そりゃあもう、見てて辛かったですよ。
子や孫を立派に育て上げ、社会を支えてきた一人の男の老後が、こんなに寂しいものだなんて。
自分の親と重ね合わせてしまったり、自分の数十年後を考えてしまいますしね。
しかしチョウさんは、そんなしおれていく老人たちを奮い立たせ、もう一度生きる活力を取り戻させるのです。
でも、そこにはいくつもの壁が。
院長や家族の反対。
なにより、自分たちの健康問題。
さらには、チョウさん自身にも、心に秘めたことが‥‥。
いや~、最後は涙なしには見られませんでした。
もう一度輝きたい。
私たちはまだまだ何かができる。
自分の人生の最後くらい自分で決める。
哀愁あるストーリーの中にも、いろんな前向きなメッセージが詰まっておりました。
「私は笑って死にたい」
お笑い芸人の端くれ(かなり端くれ)として、このセリフは、かなりグッと来ましたよ。
胸に染みる素敵な映画でございました。
☆個人的見どころ
・ラストの仮装
・ファンキーな車イス
・チョウさんの真意