堀北真希!



『麦子さんと』

アニメオタクの麦子(堀北真希)は、声優を目指すフリーターで、口うるさいが頼りない兄の憲男(松田龍平)と同居中。

そこに突然、幼い頃に2人を置いて家を出た、母の彩子(余貴美子)が戻ってくる。

戸惑う兄妹と母の3人暮らしが始まったが、麦子は母に心を開かないまま、ほどなくして彼女は病気で他界。

納骨のため、麦子が母の田舎を訪れると、地元の人々が驚くほど、彼女は母の若い頃にそっくりだと知る。

しかも母は、地元では知らぬ者がおらぬ程の人気者だったというのだ‥‥。


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「純喫茶磯辺」「さんかく」などの、吉田恵輔監督作品です。

どちらもまったりとした映画なのですが、妙に印象に残る作品なんですよね。


幼少の頃から、母がいないのは当たり前の麦子。

困りますよね。

実の母とはいえ、ほぼ知らないおばはんが、家に押しかけてきたら。


それでまた、余さん演じる母が、ちゃんと鬱陶しいんですよ。笑

頼んでもいないのに、勝手に部屋を片付けては、大事な物を捨ててしまったり。

こっちが真剣に怒っているのに、

「あ~、ごめんごめん」

と流されたり。

あるわ~。


大人になれば、お互いにいい距離が分かったりするんですが。

幼少期から大人になるまで、すっぽり抜けてる麦子には耐性がなくて。

突然、反抗期がやってきたような態度を取ってしまうのです。

しかし、ほどなくして母は病死。

普通なら、大人になるにつれ、母娘仲良くなって行ったりするのでしょうけど。

麦子はその経験ができず、ただ胸にモヤモヤが‥‥。


父が出てこなかったり、その父や兄目線の回想シーンがないのも、なんだか良くて。

晩年のおかんの、ほんの薄い殻しか知らなかった麦子。

その殻の中身が、特に芯の部分が、地元の人たちの思い出話を聴いているうち、どんどん形成されていくのです。


最近の女の子っぽく、好きなこと(麦子の場合アニメ)以外には温度の低い麦子を、堀北さんが好演してらっしゃいました。

その等身大の感じがあったからこそ、こっちもその目線で観れたので。

松田龍平さん演じる、だらしないくせに口うるさい兄との距離感も、すごくナチュラルでしたし。


しかし、哀愁のあるおかんをやらせたら、余貴美子さんは天下一品ですね。

もしくは宮﨑美子さんかな。

動のおかん・余さん、静のおかん・宮﨑さん。

現代日本の、哀愁おかん役二大巨頭!と、僕は勝手に思ってます。


大人が笑って許してくれるうちは、こっちはまだまだ子供ってことなんですな。

怒られるってことは、大人な行動を求められているからなわけで。

そして、たいていの親は、いつもいつまでも笑って許してくれる。

染みたなあ。



☆個人的見どころ

 ・頑張れミチルさん

 ・赤いスイートピー

 ・目覚まし時計


(12月21日公開)