『サウンド・オブ・ノイズ』
音楽一家に生まれながら、音痴で音楽を毛嫌いしている警官のアマデウス。
職場に流れる音楽にさえ、怒りを感じていた。
ある日、街中のあらゆるものを楽器にしてゲリラ演奏する、音楽テロ集団が出現。
現場にあったメトロノームを手がかりに、アマデウスは捜査を開始する‥‥。
---------------
カンヌ映画祭で話題になった、「アパートの一室、6人のドラマー」という短編がありまして。
それを長編化したのが、この作品だそうです。
ストリート音楽家の2人。
彼らの音楽活動は常識の枠からはみ出し、時には街を大混乱に陥れる。
そんな彼らが、壮大な「作品」を仕上げるために、さらに4人のドラマーをスカウト。
しかし、その計画を完成させまいとする、アマデウス。
果たして、その結末は‥‥。
オープニングから、めちゃめちゃカッコ良かったんですよ。
道路を走る車のエンジン音、タイヤがアスファルトと擦れる音、路面の塗装部に乗った時の音。
ブレーキ音やハンドルを切る音、風を着る音。
そこに乗っかるドラム。
ただの街の雑音が重なり合い、いつしかそれがカッコ良いロックに。
震えましたね。鳥肌が立ちましたよ。
さらには、ゲリラたちの計画書。
鉄拳のパラパラ漫画風にそれが現されていたのですが、これがまたシャレオツで。
この後の展開への期待感を、これでもかというくらい煽られたのですが‥‥
正直、僕の中では、徐々にトーンダウンして行ってしまいました。
う~む。
語弊を恐れずに言うと、「芸術」って、言ったもん勝ちみたいなとこがあるじゃないですか。
以前見た現代アートのドキュメンタリーでも、画用紙に絵の具をピピッと振りかけたのを「芸術作品」と呼んでた人がいましたし。
それはそれで良いとしても、他人に迷惑かける芸術って何やねん、って言うのが僕の中にありまして。
店のシャッターやビルの壁に、無許可で絵を描いたりするヤツがいるでしょ。
あんなもの、仮にどれだけ上手くても、僕は落書き以下だと思ってるんです。
何の値打ちもない。
それの音楽版を、このゲリラ集団はやるんですな。
そのリーダー的存在のサナ。
これが、異常なほどその作品の完成に情熱を傾けてまして。
でも、やろうとしていることが非常識な上に、僕からしたら芸術性を全く感じないものなので。
どう見ていいのか、困っちゃいましたね。
せめてその「作品」と呼ぶものが、住人や通りがかりの人が「うわあ~!」と心ときめかすようなものならまだしも。
別に‥‥ええ。
あ、クライマックスのそれは、ファンタジックな仕上がりで素敵でしたけど。
そしてラストは。
な、なぜそうなるのだろうか‥‥。
頭に「?」が3つばかし浮かびましたよ。
冒頭の期待値が半端なかっただけに、中盤以降がもったいなく感じてしまいました。
☆個人的見どころ
・オープニング!
・パラパラマンガ風計画書
・謎のラスト