原作は2012年本屋大賞受賞作!


映画とカレーと藤井


『舟を編む』

玄武書房に勤める馬締(まじめ:松田龍平)は、極度に内気で、営業部は変人扱い。

ある日彼は、本好きで言葉に対する感性も鋭いことを見込まれ、辞書編集部にスカウトされる。

そこで編さん中の新しい辞書「大渡海」に収録する言語は二十数万語。

辞書編集部には、馬締の他に、チャラいが現代語に強い西岡(オダギリジョー)など、たったの4人。

そんな言葉との格闘を続けているある日、馬締は、下宿先の大家の孫娘・香具矢に一目惚れし‥‥。


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三浦しをんさん原作で、2012年の本屋大賞を受賞した小説「舟を編む」。

2012年受賞作がもう実写映画化って!早っ!

あ、大賞を受賞する前から制作してたんかな。そりゃそうか。


まず、タイトルに惹かれましたね。

「辞書を作る」ではなく、「舟を編む」。

言葉はそれこそ無限ですから。

今こうしているうちにも、増えていってるでしょうし。

そんな広大な言葉の「海」を渡るための、「舟」を「作る」のではなく、「編む」。

おっしゃれ~。

僕みたいなボキャ貧(←死語)には、到底思いつかないですな。


辞書を作る作業なんて、とんでもなく地味で、なおかつ果てしない作業だと思いますし。

それを映画化して、何が面白いねん!と思いきや。

馬締、西岡を始め、個性的な登場人物たちや、香具矢との何やかんや。

そして、十数年にも及ぶ長い編さん作業中に起こる、様々な出来事をうまく散りばめてありまして。

静かな映画ながら、最後まで飽きずに楽しめましたよ。


松田龍平さん、目つきが鋭いので、ワイルドな役柄が多いイメージだったのですが。

こんなオタク丸出しの役もハマるんですな~。

宮﨑あおいさん演じる香具矢の、そそっと支える感じもグーでしたし。

オダギリさんの、人の良いチャラ男も憎めず。

その他の脇を支える登場人物たちも、それぞれ個性が光っていて。

地味なテーマだからこそ、役者さんたちの力が、いっそう光って見えましたよ。


何気にクスクス笑えるところが多かったのが、意外で良かったんですよね。

いや、そんな笑える作品ではなく、真面目でお堅い映画かなと思っていたので。

不意をつかれたのもあって、ケケケと笑ってしまいました。

さすが「あぜ道のダンディ」「ハラがコレなんで」の石井裕也監督。

調べてみたら、奥さんが満島ひかりさんじゃないの!羨ましいなこんちくしょう!


語釈(語義説明)のところ、もっと色んな言葉のも見たかったですね。

少しだけしかなかったのが、逆に他のも見たくなっちゃいまして。


薄々は感づいておりましたが、やはり辞書を作るというのは、果てしないことなんですなあ。

ラストもニヤリと笑えましたし、素敵な映画でございました。



☆個人的見どころ

 ・仕事漬け感

 ・恋文

 ・編集部のおばさんのナイスプレイ


(4月13日公開)