2人の王国。


『ムーンライズ・キングダム』
1965年、アメリカ・ニューイングランド沖の小さな島。
12才のスージーは、双眼鏡で外を眺めては、物思いにふけっていた。
ある日、ボーイスカウトのキャンプ地で、隊員の少年・サムが脱走する事件が発生。
サムが畑の小道に立っていると、そこに現れたのは、荷物をまとめたスージー。
なんと二人は文通で交わしていた、駆け落ちの約束を実行したのだった‥‥。


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まるで絵本を見ているような。

一場面一場面が、独特かつ鮮やかな色彩で。

とても印象的な作品でした。


子供の頃の冒険心を、そのまま映画にしたような映画ですね。

このまま自転車をこぎ続けたら、どこまで行けるかな?とか。

ちょっと進んで、知らない町名の看板を見るだけでドキドキしたり。

ポケットにわずかばかりの小銭が入っているだけで、ちょっと安心したり。

そういう、もう忘れていた懐かしい感情が溢れて来ましたよ。


サムとスージーの恋の淡さがまた良いんです。

子供の駆け落ちですから。

一年後はおろか、一ヶ月後も一週間後もどうでもいいんですな。

というか、頭がまわらないんです。

とにかく一緒にいよう。一緒にいたいと。

そこにエロとかはなく。

いや、ちょっとのエロは混ざってくるんですけど、それは大人たちの見よう見まねで、雰囲気を味わいたいだけで。

その辺の淡さのリアリティが、僕の中で埃をかぶっていた子供心を引っ張り出し、こちょこちょくすぐってくれました。


こういうストーリーって、作れそうで作れないと思うんですよね。

誰しも大人になるうち、余計なことを知ってしまいますから。

純粋な部分も、どんどん小さくなって行って。

だからって、きっと子供には作れないんですよね。

大人になりながら、子供心を持ち続けている人ってすごいっす。


そんなピュアなストーリーと、色鮮やかな映像が、とてもマッチしておりました。

ド派手なアクションだけでなく、こういう映画も、映画館で観て欲しい作品っすなあ。



☆個人的見どころ

 ・純心と色合いと雷

 ・印象と頭皮の薄いブルース・ウィリス

 ・ムーンライズ・キングダム