あの国のお話。



『かぞくのくに』

在日朝鮮人2世で、日本語の教師をしているリエ(安藤サクラ)とその両親の元に、北朝鮮から25年ぶりに兄のソンホ(井浦新)が帰ってくる。

病気療養のため、3ヶ月だけの許可をもらったのだ。

家族や友人は、その帰国を喜び歓迎するが、ソンホの口数は少ない。

常に監視の目が光り、余計なことをしゃべらないように命じられているのだ‥‥。


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なんとも悲しく、理不尽な物語です。

映画でありながら、ある種ドキュメント番組を見ているような気分になりました。

安藤さんや井浦さんなど、役者の皆さんのお芝居がとてもナチュラルなので、余計にそう感じましたね。


独裁政権がどうのとか、ミサイルがどうのとかっていうニュースもたいがいですけど。

こういう、自分の近所でもこっそり起こっていそうな、リアルな出来事の方が逆に、あの国の異常性を強く感じてしまう部分もありますな。


それに不満を感じている人。

当たり前のことだと思い、祖国を信じている人。

不満を感じているけど、口に出す人、出さない人。そして出せない人。

いろんな人の立場と思いが伝わってきて、複雑な気持ちになっちゃいました。


フィクションだそうですけど、こういう話は珍しくないことだそうです。

この現代社会で。信じがたいっすな。

とはいえ、家族を思う気持ちはどこの国も同じなわけで。

それが分かると余計に、こっちに残る人たちの切なさが伝わってきましたね。


でも、だからって、こっち側から何かしらできることがあるわけでもなく。

見終わったあと、ただただ同情の念だけが残るというか。

普通の暮らしを求めているだけなのに、普通の暮らしが遠い国もあるのだなあ。



☆個人的見どころ

 ・あの国の異常な一面

 ・母の愛

 ・コーヒーと砂糖