衝撃の実話‥‥。


映画とカレーと藤井

『The Lady アウンサンスーチー 引き裂かれた愛』

1988年のビルマ。

イギリス人の夫、2人の息子とイギリスで幸せに暮らしていたアウンサンスーチーは、病気の母の見舞いで久しぶりにビルマへ。

そこで、軍事政権が民衆を抑圧する現実を目の当たりにする。

「ビルマ建国の父」として、死後も国民から愛されるアウンサン将軍の娘・スーチーに、民主主義運動家たちが、リーダーになることを懇願。

スーチーは迷いながらも、選挙に出ることを決意するが、それは軍事政権との、長く苦しい闘いの始まりだった‥‥。


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何も知らないんやな~僕は。

アウンサンスーチーさんの名前は、もちろん存じ上げてましたが。

まさか、こんな壮絶な人生を歩んでらっしゃるとは‥‥。

しかも、現在も争いは継続中。


ただの主婦だった人が、突然民主主義運動のリーダーに祭り上げられて。

知りませんでした。

血筋もあって、自ら立ち上がった人だと思っていたので。

初演説の直前の

「人前でしゃべるのは初めて」

というセリフに衝撃を受けましたよ。


もちろん、国を愛する気持ち、現状を憂う気持ちがあったからこそ、見事に務められているのでしょうし。

ただのお飾りなら、きっとボロが出ますからね。

しかも、状況的に最悪な時に、先頭をまかされるって。

家族も含めての命の危機が、しょっちゅうあるわけですから。

並大抵の精神力じゃないっすな。


死後も皆に愛され、自分をかわいがってくれた父

支えてくれる支持者たち

信じてくれる国民たち

何より、いつも味方でいてくれる家族

それらの要素一つ一つが、スーチーさんを支える強い柱になっているということが、とてもよく伝わってくる作品でした。


しかし、比較的穏やかな国民性の日本で生まれ育ったせいか、この軍事政権の残虐な所業は信じ難いですね。

いくら政府の命令とはいえ、同じ国の人間に、あんな酷い仕打ちができるもんなんですかね?軍人さんたち。

映画の上での誇張だと思いたいところですが、きっとそれに近いことが行われているんでしょうね‥‥。

今もなお、ビルマは混乱状態にあり、スーチーさんは苦しい闘いを強いられているそうです。

そういうニュースって、あまり日本では大きなニュースにならないんですね。

北朝鮮のように近かったり、イラクのように戦争になったりすると、一挙手一投足を報道するのに。


作品中の、「ビルマ」という表記が気になりまして。

ずいぶん前に、「ミャンマー」になったと習ったはずなので。

でも、この作品の字幕はずっと「ビルマ」で。

調べてみたら、「ミャンマー」への名称変更は、軍事政権が強引に決めたもので、スーチーさんたちは認めていないようですね。

だから「ビルマ」表記にこだわったんですな。

英米なども、ビルマの表記のままだそうで。

日本はすんなり「ミャンマー」を取り入れたようです。

何で?


いや~、本当に世界は知らないことばかりです。

この御時世、軍事政権とか独裁政権とかが、まかり通っている意味が分からんすな。

実は監督がリュック・ベッソンなのに驚きましたよ。

だったら、もっと注目されてもいいのになあ。

とにかく、そういう現実が今もあるということを知るためにも、観ておきたい1本でございました。



☆個人的見どころ

 ・家族の絆

 ・残虐軍事政権

 ・次男がおっさん化する様