加賀恭一郎シリーズ最高傑作!


映画とカレーと藤井

『麒麟の翼~劇場版・新参者~』

日本橋にある、翼の生えた麒麟像の下で、サラリーマンが殺害された。

被害者は会社員の青柳(中井貴一)という男。

彼は、腹部を刺された状態で、8分間も歩き、わざわざこの麒麟像の下で息絶えていた。

それを不可解に思ったのは、日本橋署の刑事・加賀恭一郎(阿部寛)。

容疑者の八島という青年は、逃走中に車に轢かれ、意識不明の重体に。

捜査本部は八島を意識不明のまま送検しようとするが、何かが引っかかる加賀は、独自の路線で捜査を進める‥‥。


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東野圭吾さんの小説が映画化されるのは何本目なのでしょうか。

僕も何本も拝見しておりますが、そのつど緻密に織り込まれたストーリーにため息が漏れてしまいます。


そしてこの作品。

加賀恭一郎シリーズは、小説で読んだことも、ドラマ「新参者」を見たこともなかったのですが。すんません。

それでも、キレ者・加賀恭一郎の魅力は存分に伝わってまいりました。

同じく殺人事件を取り扱う系の「ガリレオ」シリーズとは、また違った人情派なんですね。加賀さん。


一つの殺人事件から細~い枝をたどり、少しずつ、確実に真実に迫って行く加賀刑事。

中盤くらいまでは、なかなか事件の全貌が見えて来ず。

加賀のジレンマとともに、僕も若干ダレてしまいました。


が!

事件の真相に迫ると供に、僕の心もスクリーンに迫るがごとく釘付けになりしたよ。

そうか、そういうことだったのか‥‥。

よくできてるな~と思いつつも、なんて悲しい物語だと思ってしまいました。

何が悲しいって、心底の悪人がいないのに、運命のいたずら的にこういう結果になってしまったことでしょうか。

東野先生!なんて話を書くんだ!


脇を固めるキャストさんも素敵でしたしね。

被害者役の中井貴一さんやベテランの皆様は言うまでもなく。

若手と呼ばれる世代の方の好演が光っておりました。

溝端淳平さん演じる若手刑事・松宮も良かったですし。

田中麗奈さん演じる、唯一加賀に強く言える看護師も印象的でしたし。

容疑者の彼女役の、新垣結衣さんも、素朴で薄幸な雰囲気の女性を好演されておりました。


ただ、映画としての派手さはあまり感じなかったですね。

じっくり見せるストーリーだと思うので、「どこをどうした方が」とかは分からないですけど。

大きなスクリーンで観てよかった!と思える何かが欲しいんですよね。この映画に限らず。僕はですよ。

単純に、派手なアクションシーンを入れればって事でもなくて。

う~ん、僕の勝手な物差しの話なので、説明はしにくいのですが。あは。


とはいえ、丁寧に作り込まれた良作であることは間違いなかったですよ。

派手さはないと言いましたが、逆に緻密なストーリーをじっくりと楽しめました。

加賀恭一郎シリーズ、もっと映画化されて欲しいっすなあ。



☆個人的見どころ

 ・緻密なストーリー

 ・それぞれの想い

 ・突然現れる劇団ひとり