心に余裕ができたので更新。

あの名作「フラガール」の李相日監督最新作です。 


映画館を漂流中。-悪人

「悪人」

長崎在住の祐一(妻夫木聡)は、博多で働く、出会い系で知り合った佳乃(満島ひかり)と待ち合わせをしていた。

しかし、待ち合わせ場所で佳乃は、他の男の車に乗って行ってしまう。

後日、いつも通りの日常を過ごしていた祐一の元に、以前出会い系でメールをやりとりした光代(深津絵里)から連絡があり、会うことに。

それをきっかけに付き合うことになった2人だったが、ある日、祐一は光代に、同じように出会い系で知り合った女・佳乃を殺してしまったことを告白する‥‥。



なんかもう、胸が苦しくなる映画です。

他にすがるところのない祐一と光代を見てるだけでもつらいのに。

娘を無惨に殺され、途方に暮れる父役の柄本明さんと、孫が殺人を犯して追われ、心ここにあらずのような状態で過ごす祖母役の樹木希林さんがそこに拍車をかけて‥‥つらい!


なんというか、俳優力をすごく感じる映画でした。

前述した4人の、それぞれの苦しみが伝わってくるような。

僕は特に樹木希林さんの「無」のような演技がグッときましたね。

いやもう、本当に「無」なんです。

何もかもに現実味を感じなくなっているような状態というか。

やはりすごい女優さんです。

自分の母や祖母の姿と重ね合わせて見てしまった方も多いと思いますが、そうやって見ちゃうと本当にいたたまれなくなりますな。


それに、岡田将生さん、満島ひかりさんのヒールっぷりも何気に光ってましたね。

整ったかわいい顔をしたお二人が、ああやって性悪人間に徹されると、なんか背筋が寒くなるというか、さらに怒りが増すというか。

でも、そこがきっちりしていたからこそ、この作品に重みが出てるのではないかと。思いましたが。


妻夫木さん、深津さんのお二人は本当に素晴らしかったんですけど、個人的に思ったのは、その2役を演じる人が、もっとブチャイク系だったら、さらに説得力があったのかなと。

妻夫木さんはダサいチンピラのような、深津さんは内気で地味なOLのような容姿にされてましたが、やはり元のお顔が整いまくってますから。

言い方は悪くなっちゃいますが、ブチャイクで今まで全然出会いがなかった2人が、出会い系で知り合った同じような境遇の異性に惹かれ合い、依存し合うという方が、より自然な流れになるような気がしたので。


そんなこと言ってますが、本当に見応えのある映画でした。

深津さん、モントリオール世界映画祭主演女優賞おめでとうございます!



☆個人的な見どころ紹介

 ・みなさんの役者力

 ・樹木希林さんのさんの「無」の顔

 ・深津さん、妻夫木さん体当たりのベッドシーン!