あのミッキー・ロークが、ロートルになったかつての人気レスラーを好演です。


映画館を漂流中。-レスラー


かつて大人気を誇ったが、今は落ちぶれて地方のドサ廻りをしているロートルレスラー、ランディ=“ザ・ラム”。

生活は貧困を窮め、狭いトレーラーハウスの家賃すら滞納し、週末の試合以外は近くのスーパーの裏方でバイトをしていた。

ある日ランディは、試合後の控え室で、ステロイドの副作用から心臓発作を起こし、病院に搬送される。

当然のごとく、医者からは引退を勧告され、ランディは人生の岐路に立たされる‥‥。



なんと申しましょうか、プロレスが好きな人とそうでない人で、評価が全く分かれそうな作品ですね。

僕はプロレスが大好きなので、かなり食い付いて観ちゃいました。

逆に、プロレスに興味のない人が、これを見て面白いと思うんだろうか?


内容的には、正直、全体的に哀愁が漂い過ぎて、途中から精神的に疲れてきたんですが、ラストはかなり感動しましたよ。

いつか舞台を指さして、「あそこがオレの居場所だ」なんて胸を張って言える男になりたいもんです。

あと20年以上かかるかな‥‥。

余談ですが、劇中、往年のハードロックの名曲がバシバシかかります。

お好きな方はテンションが上がると思いますよ。


プロレス界の裏側も、生々しく描かれておりまして。

一時的に人気を誇っても、激しいプロレスの世界で、いつまでも一線で続けられるワケもなく。

でも、ドサ廻りとはいえ、試合ができてオファーが来るレスラーはまだマシなほう。

体が不自由になったレスラーが、生きるためにかつての名前で小銭を稼いでいるシーンは、見ていて涙ものでした。


日本のプロレス界も、人気低迷と言われて長いですから。

同じような状況は想像に難くないです。

僕らファンは、表側の華やかなとこばかり見せていただいてますからね。

裏側の過酷さは知る由もなく。

奇しくもつい先日、三沢光晴さんが、選手と社長業の両立という激務をこなす中、試合中の事故でお亡くなりになりましたし‥‥。

体を張ってファンを楽しませてくれている選手たちが、老後を安心して過ごせるようなシステムがいつか確立すればいいんですけどね‥‥。


それはさておき、この作品の良さは、やっぱりミッキー・ロークの好演がでかいですね。

撮り方もありますが、途中何度か、そういうレスラーのドキュメント映画みたいにも見えました。

かつてのセクシー俳優が、今やぶよぶよに太っただらしないおじさん。

それを逆手に取っての、今回のロートルレスラー役。

体つきといい、リングでの立ち回りといい、にじみ出る哀愁といい、本物のベテランレスラーそのものでしたよ。

かつての人気は、ルックスだけに支えられていたものではなかったんですな。



☆こんな人におすすめ

 ・全てのプロレスファン

 ・ハードロック好き

 ・太ったミッキーも好きよ!