ミムラさん主演の映画です。


子供の頃、落語好きの叔父さんの影響で落語に目覚めた香須美(ミムラ)は、大学の落研を経て、破天荒な落語家・三々亭平佐(津川雅彦)に入門。

そんなある日、平佐は生放送中に不祥事を起こし、テレビ界からは干され、寄席にも出入り禁止状態に。

ヒマを持て余し、生活も苦しくなってきた平佐に、ある女プロデューサーが現れ、演じた者は必ず命を落とすという呪われた古典落語「緋扇長屋(ひおうぎながや)」に、生放送で挑まないかという依頼が。

必死に止める香須美。

演じる決意の固い平佐。

果たして2人の運命は‥‥?



期待せずに(失礼)フラリと観に行った感じだったのですが、これが意外にも(ほんと失礼)面白かったんですよ。

タイトルからして、最近流行りの、若い娘さんが主役の根性サクセスストーリーかと思っていたのですが、これが良い意味で裏切られまして。

根性とかサクセスじゃなくて、師匠と弟子の絆がメインでしたね。


その、2人の関係性がすごく良かったんですよ。

セクハラは日常で、しかも弟子に金をせびりに来るようなダメ師匠なのに、どうしても放っておけない弟子。

稽古もつけず、家政婦代わりにしか使っていないが、腹の底の部分では弟子の才能を認めている師匠。

その2人のやり取りが、バカバカしくも微笑ましかったです。


ちなみに、あの大ベテランの津川雅彦さんでも、今まで落語家の役は避けていたそうです。

「我々役者は、白衣を着れば医者、制服を着れば警官にもなり切れるが、落語家は学ぶことが多すぎて、観客を騙しきれない」というような理由だと、何かの記事で読みました。細かいとこはうろ覚え。


その落語家の、しかも大師匠の役に70才手前にしてあえてチャレンジした津川さん。

どこからどうみても、粋で型破りな落語家さんでした。

少なくとも、僕はすっかり騙されましたね。

すごいっす。


そんな2人の物語に、落語界独自の慣習や、呪われた古典落語、視聴率主義のテレビ局などが入り交じってきまして。

一見ごっちゃごちゃのようですが、見終わってみれば、ストーリー全体が良くできた1本の名作落語のようでした。はい。


ちょっと生の落語を観に行きたくなる作品でございました。



☆こんな人におすすめ

 ・落語のファン、もしくは興味がある人

 ・良くできたお話の邦画好き

 ・ミムラさんの流暢な寿限無を聴きたい