スター・ウォーズ/フォースの覚醒 (IMAX-3D版) | 愛すべき映画たちのメソッド☆

愛すべき映画たちのメソッド☆

映画感想家・心理カウンセラー・芸術家のNatsukiです☆

『映画にどんなに素晴らしいメッセージが含まれていようと
「娯楽性」がなければ作品としては失敗だ』/レオナルド・ディカプリオ




「全て真実だ。ダークサイドもジェダイも、現実のことなんだ。」




幼少の頃、砂漠を彷徨う「薄汚れた金色のドロイド」と、宇宙海賊が乗る円盤型の「銀河系最速のガラクタ」に心を鷲掴みにされ、遠い昔の、はるか彼方の銀河系を舞台にしたスペース・オペラの虜になった。

「ルーク三部作」であるオリジナル・トリロジーはもちろん、「アナキン三部作」の『ファントム・メナス』『クローンの攻撃』『シスの復讐』もそれぞれとても大好きな作品である。

そして、スリルと驚きと喜びに満ち溢れた冒険が、「レイ三部作」として再び幕を開けた。

1983年に公開されたエピソード6の数年後に作られたというコンセプトで本作は撮影されていて、そのためCGを極力控え、原寸大のミレニアム・ファルコン号のセットをはじめ、あらゆる物がほぼアナログで80年代風に実際に作られている。

劇場公開まで物語の全貌がほとんど見えず、世界中でストーリーに関する様々な憶測と噂が飛び交ったが、全編にわたり予想を遥かに超える驚きが散りばめられていた。

映画公開まで秘密主義を徹底することで知られるJ.J.エイブラムス監督は、いつも「秘密が漏れること」よりも「観客の楽しみが減ること」を何よりも避けたいと願っているそうだ。

それはJ.J.エイブラムス自身が、幼い頃から劇場という暗闇で「映画」というものにワクワクし、目を輝かせて夢の世界に飛び込み、そして驚き興奮させられた体験をたくさん持っているからだろう。

監督になった今、同じワクワクを世界中の映画ファンに届けようとしている。

「子供は世の中の多くのことが謎に包まれたままだからこそ〈どんなことでもできる〉と信じることが出来るのです」とJ.J.エイブラムスは語っている。

彼が映画を撮るとき必ず徹底した「秘密主義」を貫く理由、それは本作『フォースの覚醒』を予備知識無しで観れば大いに納得させられる。

本作に込められた「スター・ウォーズ愛」と「驚きの展開」と「見たこともないアクション」の数々には、笑顔と涙が同時に溢れ出すほどの感動がある。

「期待と不安が入り混じるざわついた劇場の暗闇で、あっと驚く体験を知らない人達と共有する」という「映画」本来の魅力を再体験させてもらえる。

ルーカスフィルムのキャスリーン・ケネディが「J.J.エイブラムス監督を初めとした新三部作の3人の監督は、少年時代にSWの洗礼を受け、そのDNAを〈受け継ぐ〉者たちだ」と言っていた通り、新三部作は「新世代」の監督たちが描く「新世代」の物語なのだ。

あの『ジェダイの帰還』から30年後の世界には、長い年月をヒシヒシと感じさせる雰囲気が充満している。

激しい戦闘の爪痕、朽ち果てたスターデストロイヤーやAT-ATなどの残骸、ジェダイやダークサイドが「伝説」となりつつある新たなる世界。

そして、過去の大戦の名残や「心の傷」までもを受け継がされた「若者たち」の苦悩。

本作は、とても魅力的な「新キャラクター」たちを創造し、とても斬新な「新たなる物語」を展開させつつ、プラス『新たなる希望』『帝国の逆襲』のリブートかの様に「ジョージ・ルーカスの魂」を受け継ぎ、数々の「スター・ウォーズらしさ」も盛り込まれている。

銀河を夢見る若者たち、大虐殺、旅立ち、ダークサイド、血縁の呪い、レジスタンス、様々な星の住民とドロイドが共存する差別の無い世界、ミレニアム・ファルコンの超高速旋回飛行、無法者ばかりの酒場、理屈っぽいC-3POとヤンチャなR2-D2コンビ、ライトセイバー戦と空中戦、そして、絶望的な悲劇、新たなる希望・・・。

溢れんばかりのエネルギー、シリーズを貫く世界観とスピリット、緊迫した状況でのユーモア、これぞ『スター・ウォーズ』という全ての要素が詰まっている。

前作で破損した丸いアンテナを、エピソード4冒頭の「ブロッケード・ランナー」と同型の四角いアンテナに変え、お馴染みのハイパードライブ航行し、地面スレスレで縦横無尽に飛び回り、壁や物に激突しながらも数々のピンチを切り抜ける「ミレニアム・ファルコン」のあらゆる場面は、カタルシスが突き抜けるほど手に汗にぎる。

計り知れないプレッシャーに耐えながらも、大胆で素晴らしいアイデアの数々を注ぎ込み、『フォースの覚醒』という堂々たる「新章」を創造した全スタッフ・キャストの勇気と情熱と心意気に心からの感謝と拍手を贈りたい。

本作は、新たなる「家族の愛と、その喪失の物語」として、我々の心に深く、そして永遠に刻まれるだろう・・・。




「嫌な予感がする。」