テッド | 愛すべき映画たちのメソッド☆

愛すべき映画たちのメソッド☆

映画感想家・心理カウンセラー・芸術家のNatsukiです☆

『映画にどんなに素晴らしいメッセージが含まれていようと
「娯楽性」がなければ作品としては失敗だ』/レオナルド・ディカプリオ





「彼女は大丈夫。『ブリジット・ジョーンズの日記』を観て、一泣きすれば忘れるさ。」



とてもキュートでおバカで笑えて泣ける『チャイルド・プレイ』の様な『シザーハンズ』の様な、現代のおとぎ話。

やはり、クリスマスには「夢」が詰まっている。

テッドの声とモーションキャプチャー、監督、 脚本、原案、製作を兼ねたセス・マクファーレンの長編映画初監督作品。

1985年、ボストン郊外に住む少年はぬいぐるみのテディベア「テッド」だけが親友だった。

そのテッドに命が宿るように祈ると願いが叶い、命を吹き込まれたテッドと少年の2人は共に暮らし成長し、27年後の現在になっても一緒に暮らしていた。

その間「生きているぬいぐるみ」としてマスコミに取り上げられ国民的キャラクターとして一世を風靡したテッドも、年と共に中年になり、落ちぶれ、酒と女とマリファナ漬けの日々を送っていた。

本作は80年代映画のオマージュが満載で、特に『フラッシュ・ゴードン』や同作のタイトルロールを演じた「サム・ジョーンズ」、マクファーレンの代表作であるアニメ『ファミリー・ガイ』やそのキャスト、「スポンジ・ボブ」や「ファーファ」、「ピンク・フロイド」の歌詞、『127時間』のニュースと隣人の犬の名前「ジェームス・フランコ」、ナイフ遊びとクライマックスは『エイリアン2』の「ビショップ」、駄目な例として挙げられる「ジャスティン・ビーバー」と「コリー・フェルドマン」、『トップ・ガン』のセリフと繰り返される「トム・スケリット」ネタ、ブランドン・ラウスの『スーパーマン・リターンズ』、『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』のポスターや音楽やパロディ、意外な活躍の「ノラ・ジョーンズ」と「ティファニー」のPVと「ベリンダ・カーライル」のパーティー、『スター・ウォーズ』の玩具やエピソード1公開時のコスプレ、「帝国のマーチ」と『ナイトライダー』の着信音と『きみに読む物語』の曲だという言い訳、初デートで観たという設定の『007/オクトパシー』と主題歌熱唱、テッドを自転車のカゴに乗せたオープニングの『E.T.』写真、 過去のダンス・シーンでの『愛と青春の旅だち』『サタディ・ナイト・フィーバー』パロディ、セリフの中の『グリーン・ランタン』とまさかの役柄で登場「ライアン・レイノルズ」、ラストカットで登場「テイラー・ロートナー」、大変な事態を招く「チアーズ」のDVD-BOX、悪者に縫い目をちぎられて綿が飛び出す『トイ・ストーリー2』などなど。

これ以外にもアメリカのディープなローカルネタや、ドラッグや差別表現や過激なセリフや下品な下ネタなど、見た目のわりには高めな年齢制限があるのも納得なビターさマニアックさで、完全に大人のブラックコメディに仕上がっている。

主人公と共に成長したぬいぐるみの声が渋い親父的になる点や「命が宿る」設定は『A.I.』=『ピノキオ』や『トイ・ストーリー3』のロッツォっぽくもあり、テッドのオタク的なボキャブラリーの多さと口の悪さは『宇宙人ポール』風でもあり、映画好きには全編たまらない雰囲気。

メインストーリーのマーク・ウォルバーグとミラ・キュニスのカップルも現実感に溢れつつとても魅力的で、日々のやり取りや会話の自然さと「恋愛あるある」にも満ちていて、ロマンチック・コメディとして観ても良い。

『ロード・オブ・ザ・リング』のゴラムの様にモーションキャプチャーと最先端のCG技術で、ぬいぐるみに「命」が宿ったようにしか見えないテッド。

彼が一人の役者の様な存在感で、本当に生き生きとしていてとにかく凄い。

本作は、笑ってハラハラしてキュンとして最後にグっときて、やっぱり笑わせて終わる。

友達も作れず、雷が怖く、映画が大好きな「少年」がそのまま大人になって、少しだけ成長する瞬間が訪れる。

基本「ありのまま」で成長する主人公は、映画が大好きで夢見がちな我々と全く同じ等身大の人物で、映画という素晴らしい「ファンタジー」によって「生きる希望」と「大切なこと」に気付かされる。

それは、いつまでもピュアな心を失わずに、いろんな夢を持ち、愛と友情を信じ、希望を捨てないことの大切さなのだ。

星に願いを・・・。



「よせ、スーザン・ボイル。」