
「強制はしない。だが、君の事が好きだからここに居てほしいんだ。」
表向きはタランティーノ作品風にも見えるが、鑑賞後の印象は大きく違う意外性がある。
PVの様に音楽と映像がcoolかつスタイリッシュで、繊細な「ガールズ青春物語」にバイオレンスとドラッグとセックスが放り込まれている。
インディーズ青春映画の歴史に永遠に残るであろう傑作。
子供でも大人でもない「中途半端」な十代後半の「楽しいけど、なぜか満たされない」様なモヤモヤ感が、小さなキッカケで暴走しだす。
主人公の女子大生4人は、容姿は完璧で「同世代ピラミッド」の頂点にいるはずが、なぜか心に「やり場のない不満」や「目に見えない不安」を抱えている。
何不自由ない生活なのに「さらに上」を求めて冒険してしまう。
そんな誰もが一度は抱いたことのある「十代の危うい妄想」。
もしもそれが、集団意識でエスカレートしてしまったら、とても危険な深みにハマってしまうかもしれない・・・。
「スプリング・ブレイク(春休み)」を迎えようとしていた女子大生4人組が、刺激のない日常を変えようとダイナーを襲撃し、その資金でフロリダのビーチへ旅立ち春休みを満喫する。
そんな彼女達が麻薬の売人「エイリアン」に出会ったことから思いも寄らない「暗黒の青春」が始まる・・・。
本作は、ガス・バン・サント作品の様な雰囲気で、同監督の『エレファント』の大学生版の様に「冷ややかな視点」で「残酷な青春の末路」を描いている。
ブリトニー・スピアーズの「Everytime」をバックに「ギャングの襲撃」の数々をコラージュした場面は、『フェイス/オフ』での「Over the Rainbow」が流れる銃撃戦を彷彿とさせる。
音楽と映像の「ギャップ」が効いたカッコ良さ。
「車内からの視点のみ」でダイナー強盗を描いた場面も、見たいのに見せてくれない「じらし」が斬新で刺激的でゾクゾクする。
好青年の殻を打ち破ったジェームズ・フランコは、『トゥルー・ロマンス』のゲイリー・オールドマンに匹敵する「何をしでかすか判らない」危うさで、同時に「危険と判っていながら引き込まれる感」をプンプン漂わせていて「役者魂」を見事に証明した。
ラストは、ぶっ飛んだ「長期休暇」が終わった後の切ない「空虚感」がほろ苦く、とても印象的な余韻が「永遠」に残る。
だが青春は、儚く、苦く、痛みが伴い、「永遠」には続かない。
「飛ぼうとしても羽が無いから落ちてしまう。自分がちっぽけに思えるわ。私にはあなたが必要なの。」
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