「人間が作ったもので一番素晴らしいのはミュージックで、もっとも醜いのは、渋滞だ」
全ての物事に永遠というものは存在しない。
始まりがあるから終わりがある。
人の一生は平等に終わりがあるからより輝くのかもしれないし、時に悲しくなるのかもしれない。
本作は、原作者の伊坂幸太郎が映画化を断り続け、金城武の主演という条件でやっと実現した映画版。
確かに『不夜城』並に彼以外は考えられないと思えるキャスティング。
シリアスな表情の反面、軽妙な一面をさらりと垣間見せる巧さ。
伊坂作品らしく前触れも無く何度か時間軸が大幅に飛び、またどこかでさりげなく繋がるスケール感が今作も快感になる。
人の生死は偶然の様で実は必然で、だけど決まっているようで決まっていない。
その境界線の曖昧さは意外に些細なことだったり、突拍子もないことだったりで決まる。
心を持たない死神は愛や憎しみが詰まった人間の感情というものをいまだに理解できていない。
しかし、その感情という未知なるものに興味を抱き始めている。
そして、人間が古来から生み出してきた【ミュージック】に心を揺さぶられる。
人間が創造し続けてきた音楽が、国境や人種どころか次元をも超えた奇跡的瞬間。
芸術の素晴らしさを感じさせてくれる数少ない作品の一つとして、本当に素晴らしい裏テーマを持っている。
この世界で喜怒哀楽を持っている唯一の生物に惹かれ始めた死神は、初めて立ち止まって考える《人はなぜ死を悲しむのか。そして時になぜ死を喜ぶのか。》
そんな疑問を抱きつつ、今日も死神によって死のジャッジは下され続ける。
《生を悲しみ、生を喜ぶ人々》の狭間で・・・。
「人間というのは、眩しい時と笑う時に、似た表情になるんだな。」
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