〜シングルベッド〜







今よりずっとずっと若い頃


恋人と肌を合わせるのは


どちらかの部屋の


狭いシングルベッドだった


あの狭さが若いふたりを


余計にかき立て


お互いのぬくもりを


濃密にさせた


眠る時は


ベッドから落ちない様に


気をつかって


身体を寄せ合って眠った


今はもうひとりで

 

シングルベッドで眠る




ベッドに入ってもしばらくは


ふたりで色んな話しをした


くだらない冗談や


叶わない夢も全て


恋人の腕枕で聞いた


朝起きるとその日


一番最初に


大好きな人の顔を見れるのが


何よりうれしかった


あどけない顔を見て


その愛しさに


たまらず胸に顔を押しつけた

 

そんなことを思い出しながら


今はひとり寂しく寝ている




恋人の胸に抱かれながら眠った


シングルベッド


恋人の寝息を聞きながら


眠りに落ちるその瞬間が


大好きだった