神前にお供えする食を神饌という。

 明治以降は、ほとんどの神社は、調理をしない生饌(せいせん)を出すようになる。

しかし、昔ながらの調理をした熟饌(じゅくせん)を出す神社もある。そうした神饌を、標準の対になるという意味で、特殊神饌と呼ぶ。

 特殊神饌は、伊勢神宮や春日大社、談山神社など、よく知られた大きな神社だが、津市一志町の波多神社でも出されている。2月の祈年祭のときだ。

 土曜日は神饌の準備、日曜が本祭だ。

 

 なんでも神社は、古代の「壱師の波多氏」の氏神さまという。

 渡来系の秦氏の流れを汲む一族だ。式内社となっているだけに、歴史は深堀すると面白いだろう。それにしても、三柱の神に供える食は彩豊かだ。「怠ルコトナカレ」と呼ぶ。