こんばんは(am2:00)
今、少年社中の【MAPS】という台本を読んでいて、その影響もあり徒然~っと書きました。
今書いてる【溺れる夕陽】とは全くテイストの違う冒険譚(中二病)!
こういうの好きな人いるかな??僕は好きです!!
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転生したのが乃木坂だった件(仮)
宮本えいだい
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彼は酒場のドアを開ける。
昼下がり。薄暗くだだ広い部屋の奥で、店主の声が聞こえた。
2段ある階段を下りて、所狭しと並ぶ木製の椅子とテーブルの間を抜け男はカウンターに着く。
「いらっしゃい。何か飲むかい?」
黒い口髭を蓄えた頑強な店主が彼に言った。
山吹色のミディアムヘアに癖毛が混じる。
白く肌理(きめ)細かな肌に、鋭い琥珀色の瞳をした男は、一見して印象に残る風貌をしていた。
アルコール抜きの果実酒と一番安い肉料理を注文した男は、暫く無言でそれを貪(むさぼ)り食らった。
近頃の客は変わった奴ばかりだが、この小柄な男もそれと対して変わらない。と、店主は眉を下げるのだった。
とある王国の城下町。
数年前まで剣士や魔法使いといった冒険者や狩人(ハンター)、屈強な傭兵たちで町は溢れかえり、彼らを顧客とした商業で町は栄え賑わっていた。
現在(いま)はそれを見る影もない。
閑散とした酒場は先程に来た奇妙な男と、毎日居座る飲んだくれの男、そして時々訪れては入口の隅のテーブルで酒を呷(あお)る若い女がいるだけだった。
カウンターの上の料理を食べ終えた男は、果実酒を一気に飲み干して大きな息を吐いた。
「ねぇ、店主のおじさん!【終わりの大地】の行き方知らない?」
男の言葉に店主は、眉を寄せ慮外(りょがい)の声を上げた。
話を聞くには、男は冒険者であり王国から遥か北にある村からやって来たのだと言う。
出で立ちからするに、まだ駆け出しであろうこの若僧に、酒場の店主は嘲(あざけ)り笑い答えた。
「坊主……いや、冒険者さんよ。今はもう、そこに行こうって奴は殆(ほとん)ど居ねぇ。
それに行き方を知ってる奴も居ねぇ。なぜなら、誰もそこから帰って来た奴が居ないからな」
店主の話に、今度は琥珀色の瞳の男が眉をひそめた。
「ここは大勢の冒険者たちが行き交ってた場所だろ?!何も知らないっておじさん、ちゃんと仕事してたのかよ──」
「何だと!このクソガキ!──」
何年(いつ)ぶりであろうか。
店主の怒鳴り声がこの酒場に響くのは。
血の気の多いルーキーや破落戸(ならずもの)が、鬼の形相をした店主に熨(の)されていくのを毎晩のように見ていた。
酒場のカウンターを縦に映した視界で、飲んだくれた男は木製のジョッキを持ち上げ乾杯した。
店の隅のテーブルでは、亜麻色の髪の女が辛辣な視線を少年の背に向けるのだった。
転生したのが乃木坂だった件(仮)/つづく?
memo.
【終わりの大地】
かつて勇者と呼ばれた者たちが目指した大地。
今や世界を覆い尽くす程に広がる瘴気(しょうき)の根源である場所。一説には、世界を蝕(むしば)む者たちがそこに住んでいると言う。
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乃木坂とタイトルに入れつつ、名前書いてなかった……
でも、【バレッタ】読んでくれた人は、髪の色のところで分かる説!
……に、賭けるシカない。
宮本えいだい