バレッタ―黒い雨― 拾.今まで言ったことは無理やり結びつけた言い訳であってそれを諦めた僕が一番の | 乃木坂46×二次小説/宮本えいだい

乃木坂46×二次小説/宮本えいだい

#生駒里奈/橋本奈々未/堀未央奈/大園桃子/山下美月/白石麻衣/齋藤飛鳥
など乃木坂46の二次小説を書いてます。
そして、生駒ちゃんが出てくる小説を探しています。



イメージがあって、人物の名前を書かなければそう苦労しない文書の表現…

我慢できませんでした…

ともあれ、今後も変わらぬご愛読をよろしくお願いします。
 
 
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🔖今まで言ったことは
無理やり結びつけた言い訳であって
それを諦めた僕が一番の悪だと思う.拾











みなみから別れを告げられた日。

その日から、今までより益した空虚な時間の中を私は揺蕩(たゆと)っていた――

 

みなみが選んだ道。その足に絡まり、駄々をこねて私の我儘(わがまま)で彼女を引き留めてはいけない。

大好きな人の足枷にはなりたくない――

 

そう考えて、自分の気持ちに蓋をした。重く冷たい鉄の蓋。もう開けることなんてないだろう…その方が私は…。

 

左眼がズキン!と疼いた。

みなみを助けに向かったあの日、私の左眼は陽に落とされる炎を喰らった。

意識を失った後、病院に運ばれた私は医師から焼け爛れた左眼のことを聞かされる。左眼の失明は免れられないだろう―と。


だが、左眼は驚異的な回復力で私に光を映して見せた。

高校に入学する頃には、眼帯も必要なくなっていた。


そして右眼には、病院で目覚めた日から碧い光が薄く射している。

 

変わったのはそれだけではない。

相手の瞳を見ると強制的に流れ込んできていた思いや感情を、私の意思で遮断することができるようになっていた。


代わりに、覗こうと思えば深層の部分やその根源になっている出来事までが見透せる。

 

まぁ、そもそもそんな所まで見ようと思わないんだけど…。


 

家から一番近い駅の改札を出る。

その先にある見慣れた街の景色を、斜めに傾いた光が映し出す。

駅を出た小さなターミナルに疎(まば)らに植えられた桜が、薄桃色よりも鮮やかな黄緑を咲かせアスファルトの上には儚さを残していた。


桃雪がちらちらと舞う中を歩く飛鳥は、ふと何も落ちてはいない袖口を見つめる。

時間と共に自然に薄まり消えていくものに、自分自身の存在が重なった。

 

再び視線を上げる景色に、違和感を覚える。

まだ人通りも少ない街の通りで、ガードパイプに腰掛けるブラックスーツに身を包んだ人――


30mは先にいるその人に、どうしても意識が引っ張られる。

違和感を拭えないまま歩き、飛鳥がブラックスーツの人の前を通り過ぎた時だった。

 

「齋藤飛鳥さん?」

 

驚くことに艶やかな女性の声だった。

枇杷茶(びわちゃ)の滑らかな髪を後ろに結わえ、切れ長の瞳と薄い口唇は俄(にわ)かに妖艶さを覚える。


立ち上がった女性が、歩みを止めて固まる飛鳥の背後に寄り添う。

 


「私のこと、駅から気づいて見てたでしょ?」

 


鼓膜から脳へと滑り流れ込む言葉に、胸の辺りを鷲掴みにされた体が縮こまる。

 

「持て余してる迷惑な力を制御(コントロール)したいと思わない?」

 

碧色の射す瞳が大きく見開くいた。


(この女性(ひと)は私のことを…力のことを知っている!もしかしたら…)


!?――

 

飛鳥が振り向いた時だった。

詰襟の制服を着た少年が、スーツの女性に襲いかかっていた。

 

「真鳥君!?」

 

飛鳥の叫び声を置いて、真鳥が拳を繰り出す。

飛鳥の目では到底追いつかないスピードの連打を、濡羽色(ぬればいろ)の女性は難なく交わす。


『このっ…』焦慮(しょうりょ)した真鳥が、渾身の正拳を放った時だった。

 

僅かな間に迫った拳の外側へと身体を交わした女性は、真鳥の右手首と肘の外側を両手で掴んだ。

体制を崩される真鳥の身体が女性の傍らによろめくと、くるりと弧を描く濡羽色の影に腕関節を固められた。

ガクリ…と真鳥が地面に膝を突く。

 

「…話には聞いていたが、君がこの子の警護員(ナイト)君か」

 

小さく呻き声を漏らす真鳥から視線を外した女性は、飛鳥の胸元のポケットへと瞳を落とした。

 

「貴女には知る権利と選ぶ権利があるわ…自分の力に脅えたまま、一叢(ひとむら)から弾かれて生きるか。何者か分からぬ自分と向き合い、光へと進むのか…」

 

飛鳥の瞳は胸ポケットの名刺を映していた。

 

【国立乃木坂学園女子高等学校 特別進学過程 編入学推薦事務員】

【中田 花奈】

 

飛鳥が視線を戻す先に、スーツの女性は見当たらなかった。

耳の後ろ側から彼女の囁く声が聞こえる。

 

「…貴女のような美少女なら大歓迎。探していたお友達のことも分かるかもね…」

 

振り向いた景色に濡羽色の影は無く代わりに、恵風(けいふう)に揺れる広葉樹がアスファルトの影を遠く延ばしていた。



🔖episode.今まで言ったことは  無理やり結びつけた言い訳であって  それを諦めた僕が一番の悪だと思う  続く
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