
アマツカミ。
徳島アンダーライブに参戦しました。前の方の席だったので、逆に直視できないと言うステータス異状を起こしました。最前列の同胞のハートの強さを尊敬しました。ライブ中、なぜか最前列の同胞の行動が気になりチラ見…。うん、強くなりたい。
年明けの握手会。美月ちゃんや、くぼしーに会うべきか…。⬅推しには会う。絶対。
DDぢゃないっス!しゅっ…取材ですよ。
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アマツカミ 🔖プロローグ
日ノ本の国には太古の昔より、八百万(やおよろず)の神様がおいでになります。
国を照らし、調和をもたらしますその御力は、神力(しんりょく)と崇められ、現し世の過去、現在、未来を創っておられます。
ここに御座す麻衣大御神(あさころものおおみかみ)様。麻衣姫(まいひめ)、白姫(はっき)と崇められ、それは美しい女神様にございます。
乃木神の神力で、日ノ本を治めている麻衣姫様も600を迎えるお歳。神として一人前になる為、仕える天使から次の乃木神候補に選び、御育てになるべきお年頃です。
麻衣姫様には46使(しじゅうろくし)の美しい天使様がいらっしゃいます。天使様は坂乙女(さかおとめ)に宿ることで、神通力(じんつうりき)を現世に呼び起こし、御力の優劣を競います。
そして、46使の頂点に立った天使様に、乃木神の神力が与えられ、次の神の座が約束されるのです。
その選抜の儀を『アマツカミ』と申します。
🔖第2話.鯨に踊る菜の花
行き交う自動車からの風が、少女の艶やかな黒髪を揺らしている。
母親からおつかいを頼まれ、『好きな本を1冊買っても良い』と言う条件で、了承した美月。女性アイドルが特集された雑誌の紙袋を抱え、大きなナイロン袋を下げている。抑えきれず溢れている笑み。交差点の信号前で先頭に立つ美月にとって、横断歩道の向こう側に誰も居ないのが幸いだ。
まだ赤色の信号機と、対称する歩行者用の碧色が点滅を始めていた。信号機から横断歩道に視線を戻す美月を、蛍光のゴムボームが追い越して行く。
ぁ…。
言葉の代わりに、お腹の辺りがきゅっと締め付けられた。黒と白の歩道に出ていった菜の花色のボール。それを追いかけて傍らを、風が通り過ぎて行く。美月の瞳に小さな男の子の背中が映る。
ダメっ!
ビニール袋と茶色の紙袋がアスファルトに転がる。必死に追いかけた背中を、後ろから抱えた美月。引き返そうとした2人に、突き刺ささる悲鳴を上げた車が、目の前に迫っていた。スローモーションのかかる光景に、美月は思わず目をつぶった
次に美月が見たものは、足元で茶色の紙袋から笑顔を覗かせるアイドルと、青ざめた周りの人たちの顔だった。胸元から男の子の泣き声が聞こえている。呆然と立つ美月から、男の子が抱き上げられる。目を潤ませて、何度も頭を下げる女の人。美月も張り子の動物のように頭を下げた。女の人が、たくさん言葉をかけてくれるが、自分が何て答えているのか分からない…。
笑顔で振り返り、手を振る男の子の背中を、ひらひらと振り返して見送った美月。親子の背中が見えなくなってから、その場にへたり込んだ。まだ手足が小さく震えているのを感じていた。
良かったですね…
震える美月の傍らを、寄り添うように優しい風が吹いて、甘い花の匂いを運ぶのだった
冷たい窓を、外からのオレンジ色の光線が照らしている。
ベッドに転がり、天井の模様を見つめる美月。机には、まだ開けられていない紙袋が置いてある。美月はようやく昼間のことを思い出していた。男の子を抱えて顔を上げた時、目前に迫る車。恐怖で固まった体を、誰かが押してくれたような…。誰かの声がしたような…。
その声を思い出そうとすると、瞼にぼんやりと浮かぶ光景がある。天照大御神と書かれた古い掛け軸。その裏には、秘密の階段が続いているのだ。美月はその掛け軸を知っていた。家の奥の部屋にある床の間。もちろん行く用事は無いし、日頃光の射さないその部屋を、何となく薄気味悪く感じていた。
ただ、今日は違う。自分の命が救われた出来事に、少なからず神秘的なものを感じていた。意を決した美月は、床の間がある部屋の前に立っていた。重い襖障子を開けると、暗闇の世界が広がっている。肌に感じる湿度。後から射す光は、踏み入れた白い靴下の周りの埃を映す。天井からぶら下がる電灯に、紐で灯りをつけた美月。パチパチと光に反射して、瞼の中の掛け軸が飾られる床の間が姿を現す。
思っていたよりも更に古い床の間。
ごくりと喉の音がして、掛け軸に近づいた。床の間の前で掌を合わせて、小さく今日のお礼を言う美月。瞳に映る掛け軸は、どう見ても隠し階段など無い様子をしていた。少しの安堵と共に、念の為の確認に床の間に上がる。美月は、そっと掛け軸の裏を覗いた。
…何も無い。壁だ
ふぅっと、美月の口から空気が漏れた。その直後、ピシッと天井で軋む音。びくりと背中を丸め、音の方を見上げる美月。その足元で、蛇のように体を波打たせ、蒼色の細い光が走っていく。どこからか風が舞い込み、掛け軸をふわふわと揺らしていた。
異様な雰囲気に、美月は体を縮める。今度は床から連続して音がする。足元に下ろした視線に美月は息を呑んだ。蒼色の細い光が何重にもなり、波のようになっっている。一瞬、波の中から突風が吹き上がり、美月の全身を扇いだ。足元に覗いたのは、黒い大きな口を開ける床の間。
ぎゃっ
小さな悲鳴を残して、美月の体は床の間から消えていた。吊り下げられた電灯が、ゆらゆらと揺れている。光と闇が波打つ部屋で、底無しの奥の間は、いつの間にか元の姿に戻っていた。次第に落ち着きを取り戻す灯りは、音の無い畳の部屋を映すのだった
🔖アマツカミ 第2話 おわり
