三国志13 評価 | ショーエイのアタックまんがーワン

ショーエイのアタックまんがーワン

タッグチームLiberteenの漫画キャラクター・ショーエイが届ける、笑えるブログ・ショーエイの小言です。宜しくお願いします。


珍しくゲームの批評なのですが…

最近発売された三国志13なのですが…
ハッキリ言って全てが中途半端!!
ゲーム製作者のコーエーテクモが完全に迷走した作品です。

《リアルタイムストラテジーとしての操作性の悪さ》
先ずは、リアルタイムストラテジーとして、
ホットキーが無さすぎる…
その分、時間が動く際の操作がし難いのですが…

海外のゲームではホットキーの無い仕様なんてありえない話です。

PS4版などを考慮しても、ある程度のホットキーは十分対応できます。
そのヒントはサッカーなどのスポーツゲームに有って、
〇✖△▢の四つにR1、R2、L1、L2と組み合わせれば、
実に16種類のキーコマンドを装着することができます。
それにプラス十字キーでコマンドの種類を分割させれば、
16×4の64種類のキーコマンドが設けられるわけです。

Windouws版でキーボードを使用したとしても、
64種類も有ればかなりの操作が瞬時選択可能なものと成ります。

まずこの時点でこのコーエーテクモという会社が、
如何にリアルタイムストラテジーに於いて
遅れた会社なのかが見て取れます。
他社のゲームを全く研究していないという点も、
こういう乏しい発想の状態から考慮できます。

ましてサッカーなどのスポーツゲームを作っていない分、
リアルタイムで思考するAIというレベルでは、
恐らく最悪なレベルです。

《AIのモロさ》
コーエーテクモのAIは、
知っている人は知っている話で、
設定計算をベースに行っています。
これをアルゴなどと呼んでいますが…
いわばある一定期間の予定を組んで
その予定通りに動いて、
その予定と予定のかみ合わせでゲームが進行するというもの…

そんなAI、今時のスポーツゲームでは死活問題というレベルです。

現在、最新のAIは予測計算です!!
単純に言えばスポーツに於いて守る事を前提に考えるか、
攻めることを前提に考えるかといった分別が発生するわけですが、
予測計算では、攻めるとした際に、
攻めるためにどう守るかが必ず計算されます。
カウンター攻撃への対処をどう設定するだとか、
相手の力量によって攻めの枚数をどう調整するだとか…
AIによって常に計算されている状態です。
また、プレーヤーの癖もプレーデータの確率カウントで、
予測計算に組み込まれます。
そしてプレーヤーのデータは
基本的な傾向スタイルに分別されて、
どういうタイプの人間かを認識して予測に反映させます。
そうすることでプレーヤはAIの進化を感じる訳ですが…
さらにすごいAIに成ると、直近のデータを取得して、
傾向の変化も読み取ってきます。
そして傾向の変化を読み取るとメインサーバーのクラウドデータから
更に基本的な全体の統計を割り出して、
その後の変化の傾向まで予測に組み込まれてくる訳です。
こういうゲームは人間相手に勝負しているように錯覚するくらい、
どんどん進化していきます。

ただし、このコーエーテクモのAIの場合、
予測計算が全くなされていない為、
コンピュータの動きをアホとしか感じられないのも事実です。

《勘違いした難しさ》
前述の通りAIがモロいという訳で、
難易度の設定も単純な話…古い思考で設定しているとしか考えられません。
いわば敵の数が多ければ難しい…という話です。
昔のシューティングゲーム同様にステージが上がれば敵の数が増えて難しくなるとか、スピードが上がっていって反応しにくくなるといったレベルです。
こういうのをコンピューティング・ディフィカルティという造語で表現いたします。
ゲームの難易度設定に於いて、コンピューターが面倒くさい状況であり反応しにくい状況で複雑化すればするほど迷路やパズルと一緒で達成するルートが狭まっていくというものです。

要するに最初は豊富な手段を講じられる状況で遊べるが、
ドンドンその手段の範囲が狭まってきて、その攻略ルートが限定されてくる。
無論、不可能というレベルも生み出せる手法なのですが、
今までゲーム会社はここで攻略手順(どこを優先して攻めるれば攻略できるかの手順)という可能なルートを用意して最終的な難しさの限界を模索してきました。
そして攻略法を知った人には今度はスピード感を上昇させることで更にその難しさを煽ったという訳ですが…まあ、今ではテトリスなどのパズルゲームが解りやすい例で理解できるのでは…

コンピューティング・ディフィカルティは
今でも日本では主流と感じられるものなのですが…
これをAIと呼んでいること自体が、
日本がAI技術で後れを取ってきた象徴とも言えるのです。

前述にも書いたように、
コンピューティング・ディフィカルティの延長線上が
「予定計算」と成ります。
ただ、それはあくまでコンピュータが状況を難しくする為の予定でしかない訳で、リアルタイムストラテジーの分野では、コンピュータの予定より早く動いてしまえば結局、難易度は全く上昇しません。
逆に、コンピュータ側が強くなるのを待って、あえて故意で難しくする状況を作った所で、
ただ単に面倒くさくなるだけの話です。
特にこの三国志13の場合、延々と敵が出没して作業的な感じでそれらを駆逐していくだけの話です。
まあ、それでも勝てるようなのですが…

《迷走したゲーム要素》
さらにこのゲームはSNSの批評に動揺したのか、
変な迷走の仕方を演じています。

元々はターン制のゲームで、将棋やチェスの延長線上の様なゲームでした。
いわばこちらが駒を動かして、相手が次に駒を動かすというもの…
ただその中に罠といった感じの計略を仕込む楽しさが有ったのですが…

罠を仕掛けて相手をそこへ嵌め込むという要素は、
イタズラを成功させるワクワク感が有り、
まあ、性格の悪い人は嵌った相手を馬鹿だと罵る要素もあったわけです…

ところがリアルタイム・ストラテジー(すべてが同時に進行する)
という状態に成るとこの罠を仕掛けるという要素が全く無くなってしまいます。
いわば計略を仕込むという要素無くなって、
カードを切ればどこでも火計が発生してしまうでは…
計略ではなく魔法だよ…という不満がネット上に上がっている訳です。
それを普通の人たちは、リアルタイムのシステム故に出きなくなったと考えられてるわけです。

本来ならリアルタイム故にこうした計略の醍醐味が味わえる要素が有るはずなのに、
AIのモロサゆえにコンピュータ側がプレーヤーを攻略することが難しくなる=
ゲームが簡単に成りすぎると製作者が考えたように感じます。

そもそもそういう安易な考え自体が情けない話で…
数が多い方が難しくなるというだけで、
プレーヤーが簡単に逆転できる方法を排除しただけの話です。
リアリティを考えて難易度を調整するならば
守勢有利、攻勢不利の設定の方が十分に楽しめるはずです。
そのうえで難易度設定に於いては、
簡単なレベルの方はカウンター攻撃が生まれやすい状況を作る…
いわば、敵が無謀に攻めてきて計略に嵌って駆逐され、
難しくなればなるほど敵は動かずに
相手の城を落とすのが困難になるという設定が理想的です。
そもそも現状の難易度設定で読み取れるのは、
コンピュータ側の領土拡大が早いか遅いかでしかない時点でAIのモロさが見て取れるぐらいです。

コンピュータ同士の状態でも同様で、
動かない敵は攻略しにくい状態で、難しければ難しい程、
誰も領土が広がらないのが理想です。

一見、こちらの方が簡単そうに見えるかもしれませんが、
守勢有利な設定ならば大部隊での攻略失敗=自国のピンチを招くリスクを難しさを取り入れればプレーヤーが領土を拡大するという難しさに転換できるのです。
単純な話、早く天下統一を目指したいのなら簡単なレベルでプレーすれば良いという話で、
難しいレベルでは時間が掛かるとして問題はないはずです。

その上で難易度の高い状態では、敵と自国を結ぶライン上で小競り合いを繰り返して少しづつ敵城へ詰め寄る必要性を盛り込むのです。
その小競り合いでは、守勢側は自国の支配エリアで計略等(火計や水計)の仕込みを予め行って相手を待ち受ける状態と成っており、小競り合いに於いては相手が設置した計略をプレーヤーが予測してその仕込みを打破していきながら敵の城へのルートを切り開いていく。
また進んだ地点には駐屯地を設定して部隊を配置し敵の逆襲に備えてルート上の優勢を保てるようにする。詳細は下記の《戦術面 上級編》にて説明。

これくらいの設定ならば今のコーエーテクモの技術でも
十分に対応できるはずで、とてもリアルに近づく難しさを演出できるとともに
領土が広がらずとも戦略を楽しむこともできるはずです。

いわば発想の転換で、難しくなればなるほど広い範囲での攻略ではなく、
難しくなればなるほど狭い範囲の攻略を楽しませるべきなのです。
その上で一城に於ける内政の充実の大切さが味わえるわけで、
外交による交易などで物流収入を盛り込んだりして、
発展の限界を取っ払う事も出来ます。

現状のままでは城の発展にも限界を設けなければ簡単に成りがちだとか、
物量戦争でなければ簡単に成るとかいう発想自体が単純すぎるし、
面白みを考える点で思考が停止しているとしか言えません。

《武将プレイという要素が…》
武将プレイ…いわば一家臣を操作して遊ぶプレイなのですが…
現状の状態では君主(一国の支配者)で
プレイする事でしか楽しめない要素しか感じません。

無所属という要素の方が武将プレイでは醍醐味と成るはずなのに…
無所属状態では行動できる事が3種類くらいしか無いです…

仲間を集めて盗賊に成るのも、
家臣団を率いて義勇軍として各地を転戦する事も…
何故、そういう要素を盛り込んでいないのか不思議です。

ある意味、戦闘に突然義勇軍が割り込んでくると
バランスが崩れるからとでも考えたのでしょうか…
発想としてプレーヤーが出来ることはコンピュータも出来るという点に執着する事は評価します。
いわば、プレーヤーの戦闘中に敵方として義勇軍が度々登場して戦況をかき回すとプレーヤーがストレスに感じるのではという配慮が有ったのかもしれませんが…
それもゲーム難易度で解決してください…
難しければそういう状況も有りうるということで良いのでは…
ましてAIの話に戻りますが、発生する条件として劉備の様な義理堅い人物は劣勢側にもしくは守勢側に、曹操の様な野心家は金のある方にと設定して、敵の情報を得ることでその存在を把握できれば戦略性の難易度として更に面白みを高められます。
また、義勇兵としての遊び方もゲームの幅を広げられて満足度に貢献するはずです。

さらに盗賊プレイでは、近隣の部落を占拠して度々城下を急襲して収入を得るという状態も考えられます。
内政データに治安という項目が存在するわけで、その治安状態によって収入量に変化を持たせます。
城側のコマンドに巡察というのが有るわけで、巡察と急襲が鉢合わせると一騎打ちが発生して成否が左右されれば尚面白みが生まれるはずです。
巡察での対応が面倒な場合は、盗賊の部落を襲撃して排除する戦闘へ行けばいいと思います。
また、治安の数値によって城への侵入が出来なくなる、また更に高い数値に成ると周辺の部落を盗賊として占拠できなくなるようにして内政の充実性を演出すればゲームバランスも取れるはずです。

《一騎打ちというものに関して…》
三国志は信長の野望とは違って一騎打ちが有るのが醍醐味です。
この一騎打ちの発生に関しては賛否両論有るようなのですが…
その賛否両論は両極端です。
いわば一騎打ちが全く発生しない方が面白いという人と、
一騎打ちが常に発生する状態にしてほしい…
0か100に分かれます。

この状態を製作者はバランスで調整しようとしているわけですが…
正直なところ、両論に分かれるのなら頻度調整もしくはON/OFFで対応する方が
得策と考えるべきです…

逆に一騎打ちを常にと考えるのは
「突撃して敵将にぶち当たったら一騎打ちで勝負決めないで何が面白いんだ!!」
という発想で、漫画的な醍醐味であり、格闘スポーツ的な醍醐味を求めているのです。
漫画的であり格闘技的な醍醐味で言うなれば、
誰が誰に勝ったというのが大事で
戦闘だけでは個人勝負で勝ったという印象が生まれないのも事実です。
こういう思考のプレーヤーは武将で言うなれば猪突猛進タイプなわけで、そういうユーザーにも配慮して作り逆にその心理的な要素をAIに利用すべきだと考えます。
ある意味、一騎打ちという一発勝負の場面でユーザーの心理が現れる訳ですから…
これを餌に計略に結び付けるなどして対応すれば面白みが生まれるのでは…

いわば部隊同士が交戦状態に成り「突撃」というコマンドを掛けて一定時間が発生すると、
一騎打ちに発展するという状態にします。
ただし、突撃を仕掛けられた部隊が突撃を仕掛けてきた方向より逆方向に逃げ出した場合、
一騎打ちは発生せずにそのまま突撃してきた部隊を誘導して行きます。
ここまで言えばお分かりの通り…
その突撃という行為が諸刃の剣と成り、計略に嵌め込まれるリスクを発生させるのです。
AIでこうした設定ぐらいは簡単にできるはずなのですが…

勿論、部隊に囲まれて身動きが取れなくなった場合は、逃げ口が無くなり突撃の餌食と成りますが…それは逆に囲まれてしまう方が悪いだけの話です。
一騎打ちが嫌いで一騎打ちに発展させたくなければ囲まれなければいいだけの事…

《戦術面 上級編》
まあ、ここからの話はスポーツゲーム的なAIに関わる話なので三国志13の製作者に期待はしませんが、とにかく戦術上のAIは囲まれないようにする設定を考えるべきです。
こうしたAIの特性で一番参考に成るのがアメリカンフットボールのゲームです。

いわばディフェンスラインのブロックの仕方次第で、背後のラインバックの飛び込みも塞げるわけで、フォーメーションやタクティクスによって相手の攻撃や守備に対する予測を付けるということです。

こうした戦術的なAIを駆使する為には、先ず地形の設定を考えなければなりません。
単純にゲームの限界を考えても、地形には幹線と在来線(側道)2本を設けた程度の形くらいは作れるはずです。
マップ上の幹道の両端に本陣と表記されますが…本来リアリティで言うなれば兵糧庫とすべき拠点を設けます。
そしてこの兵糧庫を押えた側が、糧道を絶つという意味でその勝利が決定します。
現状も似たような形で勝敗が決定しますが、守勢有利なシステムで守勢側がこの兵糧庫を奪るという敗戦のリスクは敵の侵攻をそれだけ進めたものとして影響します。
それゆえに兵糧庫を奪われない様に戦う事が一番の大前提として頭脳戦を演出する醍醐味に成ってくるわけです。

現状のゲームシステムでは、部隊をとにかく殲滅する事が攻略への大前提に成っています。
ただ、このままでは頭脳戦というより部隊殲滅が優先しすぎて数vs数の単純な話に成りすぎという印象です。
いわば本陣を落としても敵の数は最終的に減らないというのがその象徴に考えられます。
ユーザーの思考を考えれば、本陣落としても敵が復活するなら殲滅しなければ意味がないとなる心理も理解しましょう…
そして殲滅戦の状態を傍から見ればガキの喧嘩程度…何の技術も想像力も無く数と力そしてカード(秘策)の切り方だけの戦闘にしか見えないのも事実です…


しかし、兵糧庫(本陣)を落とせばという目標に変わると異なります…
ただし今の状態のように本陣に耐久力を持たせて落ちるまでに時間が掛かる状態では無く、兵糧庫に到達して火を付ければ勝ちとするのです。
こうすることでアメフトのクオーターバックをサックするという展開に近いスポーツ要素が生まれます。
そのために幹道は勿論、側道にも気を配り、敵の動きに合わせてバックアップの部隊配置も考慮しなければなりません。
とにかく相手がそこへ辿り着けば負けるし、自分が辿り着けば勝てる…フラッグファイトの状態が理想的です。後述の内容を読めばその理由が理解できると思いますが、場合によっては柵の設置や陣地の設置などを(戦闘時間を浪費する条件で)自由に行えるようにして、とにかく敵が兵糧庫に到達できない状況をクリエイトしていくようにします。

無論、その中には計略などを仕込み、大部隊で嵌れば一気殲滅も盛り込みます。

また柵や陣地を守る場合、それらが破壊されるまでは弓兵は被害を受けずに敵を攻撃できるなど盛り込んだり、歩兵を並べてライン構築(水上戦の連環)といったコマンドでディフェンスラインの様な防衛線を張ることで敵の突破を防げるといった特性を盛り込み、敵が突撃の際に発生する一騎打ちの効果も無効になる特性を盛り込みます。
勿論、騎兵は機動力が武器なわけで、歩兵のラインが崩れたところを一気に狙って突破を図ります。
これだけも十分にスポーツ的な要素が生まれる訳ですが、
ここからユーザーは色々な特性を利用して仕掛けを施す想像へ結び付けるのです。
例えば、ラインが崩れてそこへ突破しようと試みる騎兵部隊は必ず前方へ向かって進んでいくわけで、それを待ち伏せて突撃を仕掛ければ一騎打ちが発生するという事も成立するわけです。
そういう事態を想定して一騎打ちに自信のある武将をそこへ配置する、無論相手もそういう武将を配置して突破を仕掛ける。
これだけでも戦術的なリアリティとして一騎打ちの醍醐味は十分に生まれる訳で、そこに突破口を掛けた大勝負という臨場感も生まれる訳です。
AIはそれを考慮して設定するだけなので難しい話では無いはずです。
逆に敵に関羽が居て、味方にはそこまでの人物が居ないと成れば、AIは自然、敵の陣容の配置を考慮して無茶な突破で兵糧庫到達を狙わず別な思考で作戦を練るものが必要となります。

こうした状態で組み込んでいけば流石にプレーヤーの方も簡単に常勝とは行きません。
コンピュータ相手に突破されて兵糧庫を燃やされるなんて当たり前の様に起こるはずです。
ある意味、サッカーならばコンピュータ相手に1点取られてしまうという意味合いの敗戦で、城に近づくルートを徐々に奪い合うという発想ならば、一回の敗北はアメフトで10ヤード攻め込まれた話という状態で考えられます。
ただこの敗北は少数の局地戦という観点から致命的なタッチダウンでは無いのでまだまだ逆襲できるチャンスは残るわけです。
これを仮に大軍で一気に攻め入って敗北した場合、兵糧をその分目減りさせて自国を疲弊さるという大きなリスクに発展するバランスでゲームを調整する事が理想的です。
また、守勢有利という観点から相手の計略に惑わされやすい状況を理想とします。
無論、大軍であっても計略を見抜くという作業をコマンドに盛り込む必要が生じますが、
条件を整えることでそのバランスを維持できます。
例えば、計略を見抜く場合、一定時間戦闘状態に成らずに静観しなければならないとします。
いわば、ある計略を仕込まれていそうなポイントに到達して静観することで計略を発見する訳ですが、それを発見させないように相手側は頻繁に攻撃を仕掛けてそれを妨害できるようにするわけです。
一瞬でも攻撃が当たるだけで静観状態が崩壊するようにすれば、守勢側は攻撃を仕掛けては逃げ、攻撃を仕掛けては逃げというゲリラ戦術も大きな意味を持ちます。
逆に何度も妨害されると攻撃側はこれに業を煮やして逃げる敵を殲滅しに追っかける心理に成るわけですが…
攻撃側が例え人間であっても、その追撃の先に計略が仕込まれていれば結構嵌る場合もあるかと思います。

こういうパターンの計略が火計といった仕掛けでなくとも、一騎打ちの効果を利用した様な伏兵も効果的な意味を持たせられます。いわば追撃してくる攻撃側の背後に一騎打ちの強い武将が伏兵として登場した場合、追撃した方は挟み撃ちにあい、その時点で身動きが取れなくなるわけですから突撃一発で勝負ありなんてのも起こりうるわけです。
逆にこの一騎打ちを挟まれた側が何とか勝利に収めて包囲状態を突破すれば、それはそれで一種の醍醐味として味わえるわけです。

前述にも書いたように大軍を動かすリスクの一つに兵糧の量が存在します。
そこでこの兵糧の量を時間換算(現状でも有りますが)してタイムオーバーが発生しやすい状況を産み出します。
このタイムオーバーは難易度によって変化させて難しい程時間が短くなるようにします。
コーエーテクモの製作者の場合、逆の発想をしがちです。
大軍有利の状況が難しい状態であると想定し、タイムオーバーも逆に長くしそうですが…
大軍有利の方が常に簡単に成ることに気付くべきなのです。
何故なら大軍有利の場合、ユーザーの方が遥かに早く大軍有利な状況に到達できるからで…
最終的に弱小勢力との戦闘は単純作業に成るだけです。
こうした不満はかなり多いはずなのですが…

タイムオーバーが発生すると、計略を見抜く時間のロスが大軍を動かす最大のリスクと成ります。
いわば大量の兵糧を投入しての行軍なわけで、失敗すれば兵糧分が無駄に成ってしまうというリスクを設けるのです。そうすることでタイムロスに対するストレスが例え人間であっても発生する訳です。
計略を見抜かずに強行突破して計略に嵌ればそれはそれで更に大きなリスクと成るわけです。
勿論、守勢側は長い道のりを後退しながら相手を迎え撃つ事も作戦として可能にします。
現状では戦闘中に退却すると部隊は解散してしまいますが、退却ではなくその戦場から後退するという状態を設ます。
こうすることで攻撃側がその都度、強行突破を行って部隊が計略に嵌って壊滅していけば攻撃側の兵力はドンドンと目減りしていき10部隊有った状態が計略に嵌った数だけ消えていきます。守勢側の城に到達するまでに10か所戦闘でその都度計略に嵌ったら全部隊壊滅してしまうリスクに成るわけでその分慎重に進む必要性が生じます。しかし逆に慎重に成れば成る程、兵糧を浪費するという時間のロスが発生する訳です。
そして無謀な行軍で大軍を動かして失敗すると、自国の兵糧が目減りするか兵力を大きく損ない思わぬ事態が発生する理由に発展させます。例えるなら山賊が頻繁に登場するだとか、義勇軍が突如自国の城で独立戦争を起こすとか…勿論、他国の進撃や味方の裏切りなどの発生も含めて、失敗で生じるリスクを盛り込みす。

こういう設定を構築していけば、自然局地戦の重要性が増すわけです。
いわば局地戦ならば兵数が少数な分、兵糧を費やすリスクが抑えられる点と、徐々に徐々に敵城までのルートを構築するという必要性が生じる訳で、守勢有利という状態が自然生まれるわけです。
無論、大国が頻繁に局地戦を仕掛けてくると徐々に防衛線が後退していくことになるわけですが、それでも常に対処する余地が残された状態は維持できる分、楽しめるはずです。
そして城と城を結ぶ一本の道が、アメフトの100ヤードというフィールドに重なって、一回一回の局地戦が10ヤードづつの駆け引きとして熾烈な戦いを演出する訳です。
たしか…テクモさんには昔、10ヤードファイトというアメフトのゲームが有ったと思いますが…

ここまでの設定でも現状のPC許容レベルの限界は全く超えない状態で作れるはずです。
そしてこうした設定でオンライン対戦などを可能にすれば、
恐らくワールドクラスのゲームとして成立するはずです。
ワールドクラスのリアルタイムストラテジーに成れば、ゲームの大会イベントも盛り上がり、
それだけでも売り上げ、収入、話題性は現状を遥かに凌ぐはずです。

《ビジネスで考慮しても》
因みにここまでの状態でゲームを製作しても進化の限界に達した作品に成るわけでは有りません。
日本のゲーム会社は良く、
「あまり完璧な状態にすると次の作品が難しくなる…」
なんて言ってますが…
今の主流は完璧なシステムにマイナーチェンジを盛り込みながら、
同一タイトルの製品を売るというのが米国のスタイルです。
ある意味、戦闘システム自体は完璧に近づけても、
内政などの部分でマイナーチェンジは十分に盛り込めるはずです。

例えば、次回作では内政面で交易という要素を盛り込む…
RPG的な要素で、武器や宝物に付加価値を付けていき、
武器製造などに必要な素材を特産として盛り込む。
その上で味方に与える武器や自分で扱う武器を自由に生産できれば、
それだけでも違った楽しみ方が模索できるはずです。
ユーザーの心理は常に有利な状況を産み出したいわけですから。

更に酒や料理などの要素を発展させて、士気が上がるだとか、
一定時間攻撃力が上がるだとかを盛り込む。
無双シリーズでもある事なのですが、
これをいわば特産を利用して生産できる状態にする訳です。
RPGでいう錬金術で薬草などを作る要素なのですが、
特産の品質などによって効果の度合いが変わるようにすれば面白いかも…
内政面で特産の品質を上げる研究なども盛り込めるし、
地域によって生産できるものできないものが有れば、
自然交易にも繋がります。
例えるなら良い酒を造るには、
最高級の米と上質な樫の木が必要という組み合わせに、
酒生産の知識を持つ武将と都市開発技術が伴って初めて出来るとすれば、
新しい要素の遊び方が生まれると考えます。
それを交易という形で収入に結び付ければ、
ビジネス的な内政を盛り込めるのではと考えます。
そして、交易では遠国に流せば流すほど、
価値が上がる要素も追加して、
外交ルートの構築を楽しむという戦争以外の遊び方も生まれると考えます。
こうした要素でゲームが進化する余地を残して、
マイナーチェンジを繰り返すだけでも魅力は継続して行くはずです。

また、ハードの進化もドンドンと向上していくわけで、
城壁の構築や、農地や商業地の区画設定などシムシティー並みに
進化させていくという発想だけでも限界はありません。

逆に戦闘システムはあまり変化を加えない状態でAIを進化させる方が意外とユーザーは馴染みやすく楽しめます。
ある意味、戦闘に関してはサッカーのルールそのものと考えるべきで、
ユーザーの工夫次第で様々な駆け引きが生まれるものであれば、
100年続けても飽きるものでは無くなります。

基本、ゲームの大会で盛り上がる様な作品は、
ほぼこうしたシステムを変えることなく何年も人気を保ちます。

逆にサッカーゲームで有りがちな話なのですが、
操作性を変に変更して評判を落とすことが多々あるくらいです。

また、難しさやAI技術を追求する上でも、
システムを変えない方が論理的な難易度の向上に役立ちます。
いわばその方が消費者のプレー傾向が見えやすく、
AIでどのようにするとプレーヤーが困るのかなど見えやすく成るはずです。
そういう中で、今回はこういう手を考えたかなどの印象を進化させることで、
チェスや将棋をプレーする真新しを感じさせることが出来るはずです。
ただ、そのためにはそれだけ優秀な戦闘システムが必要なわけで、
中途半端なシステムでは結局何の意味もないというのが事実です。

《大会を想定したゲーム中の駆け引きが大事》
人間同士が対戦するものを観戦するという状態を想定するとカードを切るだけの駆け引きでは、プレイしている側は別として、面白みは感じられません。
無論、麻雀やポーカーの対戦を見て面白いという人も居るでしょうが、
スポーツ程の市場は生まれないのも事実です。
やはりゲームは動きによる駆け引きが大事なのです。

例えば側道を進んで森林地帯に差し掛かった部隊が居るとします。
森の中に潜む相手は見えないのですが、
そこに伏兵が潜んでいる、もしくは何らかの仕掛けが有る有ろう事は、
観戦しているだけとしても、映画や漫画のシーンと同じ感じで結構誰でも察しが付く場面です。

勿論、前述の内容でゲームのルールを知ってみている人は、そこで仕掛けを探るため静観して探索を行う行動は読み取れるようになります。
そこで案の定、森の中から静観を妨害する伏兵が現れたとします。
そして、静観を妨害するとすぐさま森の中へ消えていきました。

この時点で察しのいい人なら火計は無いという発想に結び付きます。
いわば森に火計を仕掛けた場合、その伏兵も被害にあう訳ですから…

しかし、ここで更に相手が人間という想定で考えると、
伏兵は森の中に逃げ込んで、そのまま森を抜けて出て行ったという事も考えられます。
では、その森に差し掛かった部隊はどういう行動を取るべきか…

ここが動の駆け引きです。

あえてもう一度静観して探索を行う訳です。
もし、伏兵が森を抜けて避難したのなら距離的(タイムラグ的)
に妨害はされないはずです。

そして静観すると伏兵が再び現れて妨害してきた…

この時点で探索できる範囲に火計は無いと判断できます。
故に追撃して撃退を試みる行動を考えるのも有りに成ります。

さて、このシステムは前述に書いたように第二の伏兵が存在する可能性を残している訳ですが、
観戦者は、ここで守勢側が第二の伏兵で相手を嵌め込んだ作戦を見ても成程と理解できるレベルには成るはずです。(一般的な漫画や映画ではここで決まるケースが多いため)
それを見越して更に慎重に、慎重にとタイムロスを犯しても攻撃側が色々な手口を模索していく状況に成れば、見ている側にもその駆け引きの面白みは伝わるわけです。
そしてその慎重な作戦の上で、タイムロスギリギリまで費やして攻勢側が攻略するなどに発展していけば、攻守両者の試行錯誤が観戦者に臨場感ある名勝負として伝わっていくはずです。

単純な話、傍観して見た場合のエンタテインメント性、いうなれば勝負という駆け引きの臨場感がが有れば有るほど、そのゲームの面白さは広がりやすく参加者も増えていき最終的には売り上げも増えていくというものです。
そしてその為にはプレーヤーの想像力がどれほど豊富に反映されるかが大事に成ってくる訳です。
逆に出来る事の少ない限界のあるゲームでは、見ている人は勿論の事、誰もがすぐに飽きてしまうだけです。
結局、売り上げだけを伸ばそうと何度も何度もシステムをいじって真新しさで勝負するしかないのですが…
中身が薄い分、またシステムが変わったことで改悪された感じが残り、消費者の不満だけが増幅していくだけです。
更に中身の薄さに加えシステムが異なっていくことは、消費者の好感度を分散させる事にも成ります。ただでさえターン制の方が良かった…リアルタイムに成ってよかった…だけでも分散する訳ですから(まあ、今更ターン制に戻せば時代遅れに成るのですが…)…

確かに、今のコーエーテクモの企業状態でも日本と一部のアジア市場で食っていけるレベルなので企業としての危機感は全く感じていないのでしょうが…
そこで止まっていて満足というのでは悲しい話で…
他社に先を越されて沈没していく道を歩むだけなのでは…


歴史を題材にしたゲーム会社が…
凡将のオーソドックスで守勢に回って沈没するって…
皮肉な話だと思うけどね…
三国志でも食えればいいと守りに入った領主が、
どれだけ飲み込まれたか…
劉表もしかり…劉章もしかり…
飲み込まれるまでは、両者とも何気に良いもの持ってたよね…

まあ、期待できる故に、このゲームを皮肉ってみた…