えひめリポート:デイサービス施設に駄菓子屋 | 辻川泰史オフィシャルブログ「毎日が一期一会」Powered by Ameba

えひめリポート:デイサービス施設に駄菓子屋

デイサービス施設に駄菓子屋 店番や子供とカルタも 認知症患者ら、良い変化 /愛媛


「あと140円。何を買おう」--。真剣な表情で品定めする子供たち。ここは駄菓子屋「蛍」。認知症対応型デイサービス施設「ひがし野 真心庵」(松山市東野4)に10年4月、オープンした。施設を利用するお年寄りが、店番するだけでなく、子供と一緒にカルタに興じるなど、お互いに楽しめる世代間交流の場となっている。【篠崎真理子】

 駄菓子屋を企画したのは施設長の今井典子さん(53)。「子供のころ、駄菓子屋に通うことが楽しみだった。そんな昔懐かしい駄菓子屋で施設利用者と一緒に店番もしたい」と、思ったことがきっかけ。10年間の構想期間を経て、10年4月に「蛍」をオープンさせることができた。

 今では真心庵と、近くにあるグループホーム「ひがし野」(同市畑寺)の利用者計約40人の約9割までが、袋詰めや値札付け、店番などそれぞれにできることをして運営にかかわっているという。

 学校が終わる時間になると、子供たちがお小遣いを片手にお店に駆け込んでくる。一生懸命選んだお菓子をレジに持っていくと、施設利用者のお年寄りが袋詰めをしながら、「今日は遅かったね」などと自然な会話が生まれていく。中には週3~4回通う常連さんとなった子供も。

 さらに、駄菓子屋と棟続きの和室で宿題に取り組む子供、お年寄りとカルタやおはじきを楽しむ子供、そして「何やってるのー」と、デイサービスの施設内に入ってくる子供もあり、施設内には元気な笑顔と声が響くようになったという。

 駄菓子屋を始めてから、「私にできることがある」と積極的に運営にかかわろうとしたり、子供たちに「ゆっくり選び」と温かい言葉をかけたりと、施設利用者のお年寄りにちょっとした変化も生まれてきたという。

 グループホームに住んでいる堀内コチヨさん(86)は「子供が来ると、にぎやかになる。ひ孫みたいでかわいい」と温かい笑顔をのぞかせた。

 今井さんは「これまでも介護施設が地域と自然な形でどう関わっていくか、というのは課題でした。敷居が高かったんです。でも、駄菓子屋を始めたおかげで、自然な形で人が集まってくるようになりました。利益を生むことは難しいですが、今後も交流の場として続けていきたい」と話していた。


http://mainichi.jp/area/ehime/news/20120127ddlk38040609000c.html