受験一度きり!インドネシア介護士候補
受験一度きり、追い込み懸命 県内のインドネシア介護士候補
2008年に来日し、介護福祉士を目指して徳島県内で働きながら学ぶインドネシア人研修生7人が、来年1月29日の国家試験に向けて追い込みに入っている。日本とインドネシアの経済連携協定(EPA)に基づく介護福祉士候補の1期生。
介護職場の人手不足解消の切り札として期待されるが、難解な日本語での受験は厳しい試練で、受験機会拡大に向けた在留期間延長を求める声も上がっている。
7人は横浜市と大阪府の研修センターに分かれて日本語を半年間学び、09年1月から健祥会の老人福祉施設3カ所に配属されている。
吉野川市川島町の特別養護老人ホーム・水明荘には男女2人ずつの4人が勤務。入所者の入浴、食事などの世話をした後、毎日2時間以上受験勉強。週に1度は7人が集まり、一日中、模擬問題を解いている。
「含(がん)嗽(そう)」「褥(じょく)瘡(そう)」「仰(ぎょう)臥(が)位(い)」…。
難しい専門用語はなかなか覚えられない。答えに詰まると、指導係を務める西岡義弘さん(64)がヒントを出す。研修生たちはメモしながら聞き漏らすまいと真剣だ。
流ちょうに阿波弁を使いこなす研修生も受験への不安を募らせる。
フィトリ・ワハユニングシーさん(26)は「漢字にはいろんな読み方があって分かりにくい。
応援してくれるみんなのためにも頑張らないといけないんですが」。
研修生の滞在期間は4年間だが、介護福祉士試験受験には3年以上の実務経験が必要なため、原則として試験を受けられるのは1回だけ。
しかも、合格率は日本人でも50%。西岡さんは「合格ラインがはっきりせず、試験対策のめどが立たない」と漏らす。
政府は08~09年に来日したインドネシア、フィリピンの候補者について在留期限を1年延長。試験で一定の成績を収めれば、もう1回受験できるよう要件を緩和したが、ソニー・シスワントロさん(26)は「猛勉強しているけど、まだ合格する自信はない。挑戦を続けられるように2、3年は在留期間を延長してほしい」と要望する。
EPAに基づきインドネシア、フィリピン両国から来日した介護福祉士と看護師の候補者は4年間で計1360人。
期間内に合格しないと帰国させられる厳しい条件が敬遠され、希望者は減少している。