介護保険と介護保険料
介護保険と介護保険料
病気やけがで、また年齢を重ねることによって体力や判断力が衰え、日常生活能力が低下した場合に、その人の暮らしを支援する各種サービスの提供を目的として、平成12年に介護保険制度が創設されました。それまで老人福祉と老人保健という2つの異なる制度で提供されていた介護サービスを再編成し、社会保険方式で提供するようになりました。
社会保険方式なので、対象者は保険料を負担します。要介護認定を受けて介護サービスを利用するときには、要介護度によって決まっている限度額までは、原則として利用料の1割の負担ですむという制度です。
公的介護保険の基本
公的介護保険は自治体ごとの制度で、受けられるサービスや保険料は自治体ごとに決めることができることになっています。提供されるサービスや保険料の決め方の大枠は同じですが、細かな点で異なります。
サラリーマンの場合、64歳までは勤務先で加入している医療保険制度と一緒に介護保険料を支払うため健康保険の制度と勘違いしている方も見受けられますが、実際に介護サービスを受けるときには、住んでいる自治体ごとの枠組みで利用することになります。
<公的介護保険制度の概要>
保険者 :市町村及び特別区
被保険者:第1号被保険者:満65歳以上の人
第2号被保険者:満40以上65歳未満の人
利用限度額:要介護度(要支援1,2、要介護1~5)によって決まる
介護サービスの種類(要介護の場合)
(1)訪問を受けて利用するサービス
・訪問介護(ホームヘルプサービス)…入浴、排泄、食事、必要に応じた通院の付き添いなどの身体介護や、調理、洗濯などの生活援助を行う
・訪問看護…看護師や保健師などが行う療養上の世話や診療の補助
・訪問入浴介護…入浴の介護
・訪問リハビリテーション
・居宅療養管理指導
(2)通所して利用するサービス
・通所介護(デイサービス)…通所介護施設に日帰りで通い、食事・入浴などの日常生活上の支援や生活行為向上のための支援を行う
・通所リハビリテーション(デイケア)
(3)短期間の施設宿泊
・短期入所生活介護(ショートステイ)…介護老人福祉施設などに短期間入所し、日常生活の支援や機能訓練を行う
・短期入所療養介護(医療型ショートステイ)
(4)福祉用具の貸与や購入
支給にあたっての限度額は10万円(年度)で、購入に要した費用のうち、9割相当額が支給される
(5)住宅の改修
対象になる改修工事は決められていて、限度額は20万円(原則として1つの住居につき)で、住宅改修に要した費用のうち、9割相当額が支給される
(6)施設サービス(下記の公的介護保険の3施設で受けるサービス)
・介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
・介護老人保健施設
・介護療養型医療施設
※サービス費用の1割のほか、居住費や食費、日常生活費を負担する
(7)施設に入って居宅サービスを利用する
・特定入所者生活介護(有料老人ホームなどで受けるサービス)
(8)認知症の方を対象としたサービス
・認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
・認知症対応型通所介護…認知症の方対象の日帰りの通所介護
(9)地域に密着したサービス(その自治体に住む人だけが利用できるサービス)
・小規模多機能型居宅介護…通所、訪問、泊まりのサービを組み合わせて行う
介護保険料の金額と納め方
40歳以上になると介護保険の被保険者となり、保険料の納付義務が発生します。64歳までの介護保険料は公的医療保険の保険料と一緒に納付しますが、保険料率はそれぞれの医療制度ごとに決められています。
65歳になると第1号被保険者となり、住んでいる自治体ごとに決められた保険料を支払います。保険料の納め方も変わり、公的年金からの天引きが原則となります。
子どもや配偶者の医療保険の被扶養者となっている人は、64歳までは直接保険料が課されることはありませんが、65歳になると自分の所得に応じた介護保険料を納めることになります。
「ねんきん定期便」などに書いてある年金額は、税金や保険料などを差し引く前の金額です。実際に振り込まれる手取り額は、介護保険料や住民税を控除した金額となるという点は、覚えておきたいところです。
<介護保険の保険料>
第1号被保険者(65歳以上):市町村独自の保険料。公的年金から天引きが原則 公的年金額が18万円未満の人などは別途納付
第2号被保険者:(40~64歳)医療保険制度ごとの保険料(協会けんぽは1.51%) 医療保険の保険料と一緒に徴収
自己負担 :利用額(支給額)の1割負担(ただし上限まで)
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/kouza/fp/03/20111116-OYT8T00783.htm