4月に制度化「サービス付き高齢者向け住宅」 | 辻川泰史オフィシャルブログ「毎日が一期一会」Powered by Ameba

4月に制度化「サービス付き高齢者向け住宅」

4月に制度化「サービス付き高齢者向け住宅」とは?


ファイナンシャル・プランナー 山田静江

 高齢者向けの施設や住宅を分類する主なポイントは、(1)居住環境(居室・設備)、(2)生活支援サービス(安否確認・生活相談・食事・入浴・付き添いなど)、(3)医療や介護、(4)入居条件・契約関係、(5)費用、の5つです。それぞれ、下記のような違いがあります。

(1)居住環境(居室・設備)

 大きく分けて、個室の中に、キッチン、トイレ、風呂など生活に必要な設備をすべて備えている「マンションタイプ」と、多くの設備は供用の「下宿タイプ」があります。マンションタイプは独立性が高く設備が整っているため、居住費が高め、一方下宿タイプは居住費が抑えられています。介護専用型では、ほぼ寝るだけのスペースという場合もあります。
どちらのタイプでも、食事は原則として食堂などで他の人と一緒に食べることになり、共用設備には全員が集まれる食堂や集会室、リビングなどがあります。お風呂は介護用のものが準備されていたり、場所によっては毎日温泉に入れるところなどもあります。

(2)生活支援サービス(安否確認・生活相談・食事・入浴・付き添いなど)

 見守りや相談のみ行うところもあれば、総合的なサービスを提供するところもあります。基本的にサービスが付帯されている場合もあれば、必要なサービスだけを契約して受ける場合もあります。

(3)医療や介護

 提携している外部の医療施設や介護事業所で治療やサービスを受けるところと、施設等で医療・介護体制が整備されているところがあります。入院患者の退院後の受け皿として、医療法人等が設立している施設・住宅は、医療行為が必要な高齢者を積極的に受け入れています。

(4)入居条件・契約関係

  多くは60歳または65歳以上という年齢条件を設けています。また要介護認定を受けているなど、健康状態や介護状態を入居の条件としているところもあります。
契約形態には、入居時に一時金を支払うことで、居室、共用設備等を利用する権利を得る「(終身)利用権方式」と、個室(居室)を賃貸する「賃貸方式(通常は、本人一代限りの終身建物賃貸借契約)」、そしてごく一部ですが、マンションタイプの個室(居室)を購入する「分譲方式」があります。

(5)費用

 ほとんどの施設では、1.居住費(家賃・事務費・光熱費・通信費等)、2.食費、3.その他サービスなどの費用(上乗せサービス費、リネン代、洗濯代、理美容費、雑費)を支払います。介護が必要になったら、別途、4.介護費用(介護保険の自己負担、上乗せ介護費用など)を払うことになります。入居時に入居一時金や前払家賃が必要な施設・住宅もありますが、入居一時金や前払家賃の保全措置が講じられているかどうかも大切なポイントとなります。

生活支援サービスが付く、有料老人ホーム

 まずは、有料老人ホームを見てみましょう。

 老人福祉法の定めによれば、有料老人ホームとは「1人以上の高齢者へ、食事、家事、介護、健康のいずれかのサービスを提供するもの」となっていますが、一般的には数十名の高齢者が個室に住んで、見守り、食事などのサービスを受けて暮らしている共同住宅あるいは集合住宅をいいます。

 有料老人ホームには、マンションタイプも下宿タイプもありますが、マンションタイプは自立の人向けのやや高級タイプに限られ、多くは設備が共用となる下宿タイプです。生活支援サービスは、ほとんどのホームで付帯されています。食事については必要かどうか、3食それぞれについて選べるところもあります。要介護者用では原則として3食付きで、健康状態に応じた食事を提供したり、食事を介助したりするサービスもあります。

 医療については、ホームに付帯した医療機関があるか、少なくとも提携医院を準備しているところが多くなっています。また介護については、介護保険の特定施設の指定を受け24時間の介護を提供する「介護付き」、外部または付帯している介護事業所の介護サービスを利用する「住宅型」、介護が必要になったら退去しなければならない「健康型」に分類されています。

 入居条件はおおむね60歳以上で、契約形態は、ほとんどが終身利用権方式です。サービス主体のホームや、要介護度などに応じて部屋を変更する必要がある場合には、こちらの方が都合がいいようです。要介護者専用のホームでは、要介護認定を受けていること(おおむね要支援1以上)が入居条件となります。

 費用は介護費用以外の部分で、食事つきで月額13万円程度から。要介護者専用のホームを除けば、入居時に一時金を支払うホームがほとんどです。一時金や居住費の額は、立地や居室の広さ、設備で大きな差があります。都心に建てられた豪華なマンションタイプのホームには、一時金が1億円以上というところもあります。食費は、内容にもよりますが、1日3食で1か月あたり5万円~7万円程度となっています。

 有料老人ホームについては法律で入居一時金の保全措置が義務付けられているので、どのような方法で保全されているかを確認しておくことも必要です。

条件を満たせばサービス付き高齢者住宅に

 このように、有料老人ホームは生活支援サービス付帯が原則ならば、「サービス付き高齢者向け住宅」と同等以上の施設・住宅である、と判断することができます。ただし、サービス付き高齢者住宅は、居室面積25平方メートル以上(共用設備があれば18平方メートル以上)と、広さについては有料老人ホームより厳しい基準があります。また有料老人ホームでトラブルが多い、情報提供や契約内容、一時金の扱いなどについても、より厳しい基準となっています。したがって、有料老人ホームのうち一定の条件を満たすものは、今後「サービス付き高齢者向け住宅」にも登録することで、ステータスアップを目指すと思われます。

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