「何でも屋」化するケアマネ
「何でも屋」化するケアマネ- 介護代行や近隣トラブル対応まで
ホームヘルパーがいなければ自分で介護までこなす上、利用者が起こしたトラブル処理のために謝罪にも出向く。それが本来の業務ではないと知っていながら-。そんなケアマネジャーの業務実態が、東京都介護支援専門員研究協議会の調査で明らかになった。同協議会では、関連職種間の業務分担の不明確さや成年後見制度の普及の遅れが、ケアマネの「何でも屋」化を招いたと分析している。
調査は今年3月に実施。東日本大震災の影響が小さいと考えられる近畿地方以西で特定事業所加算を取得している2873事業所から500事業所を抽出し、そこに勤めるケアマネを対象とした。このうち、38.4%に当たる192人から回答を得た。
質問では、利用者が起こしたトラブルへの対応など、担当が不明確な業務について実際に行うかどうかと、その業務が法的にケアマネの業務だと考えるかどうかについて聞いた。
その結果、利用者が近隣トラブルを起こして苦情が寄せられた際、自ら謝罪すると答えたケアマネは72.3%に上った。一方で、これを業務だと考えるケアマネは42.5%にとどまった。
また、利用者が無賃乗車などを起こした場合には「自ら費用を立て替える」ケアマネが19.9%いたのに対し、業務だと考えているのは2.9%だった。
金銭管理では、滞った公共料金の支払いを代わりに行うとする回答が22.4%(業務だとする回答は7.6%)、日常的な生活費を代わりに引き出すとする回答が5.2%(同0.6%)あった。
■申請書類の署名代筆も
介護保険の更新や要介護認定区分の変更の申請では、署名も含めて申請書類を代筆するケアマネは27.6%いたが、業務だと考えているのは11.7%だった。同様の傾向は介護保険関連だけでなく、障害福祉サービスや、健康保険の限度額適用認定証などの申請でも見られた。
■介護サービス提供、ヘルパーに断られれば代行も
一定の条件下で認められている利用者への軟膏の塗布については、「代わりに軟膏を塗布する」と答えた人が20.9%いる一方、業務だと考える人は2.3%だった。条件付きで行える一包化されていない内服薬のセッティングでも、「代わりに内服薬をセッティングする」と答えた人が25.0%に達したが、業務だと答えた人は6.9%だった。
■成年後見人の不足も原因
同協議会の担当者は、この状況について、「困っている利用者のために何でもしてあげる“いい人”が多い」と指摘する一方で、「介護サービスの提供では、ヘルパーがどの範囲まで行えるか明確に説明できない場合もあるのではないか」と分析。申請書類の代筆や金銭管理などについては、「(本来行うべき)成年後見人の担い手不足が原因にある」としている。
同協議会はこの調査結果を踏まえ、引き続きケアマネの業務範囲に関する検証を進めたい考えだ。
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